日本が誇る「高級腕時計ブランド」
世界と戦える高精度と美しさを追求し続けるグランドセイコー(GS)は、1960年にセイコーの高級ラインとしてスタート。そして2017年ついに1つのブランドとして独立しました。
腕時計専門店「GMT」近藤さん
※非常に長い内容となっていますので、目次が便利です。
3.歴史
4.工房(製作)
5.デザイン
6.ムーブメント
8.定期メンテナンス「GSコンプリートサービス」の特徴・内容
2017年に独立ブランドとなったグランドセイコー(以下GS)は、2018年には全コレクションを再構築。
「ヘリテージ」「エレガンス」「スポーツ」の3カテゴリーでGS新時代を開く。
44GSに象徴されるGSの王道デザインを現代に継承。歴代の名作を規範とした多彩なラインナップが展開される。
セイコースタイルを継承しながら、スリムなベゼルなどよりクラシカルで華やかな印象に再解釈。レディスモデルも揃う。
力強い外観と機能性を追求し、GSの新境地を開く。クロノグラフやダイバーズも用意され、セラミックの外装にも挑戦。
毎秒8振動の機械式とクォーツとを伝統のセイコースタイルに搭載した、GSのスタンダード。さらにスプリングドライブやメカニカルハイビート、特別仕様クォーツなど、精度が際立つラインナップ。
ヘリテージ・コレクション が似合う年代といえば?
ボックス型サファイアガラスや緩やかな曲線のラグなど、クラシカルでエレガントな外観を表現。
エレガンス・コレクション が似合う年代といえば?
他のコレクションとは一味違う、屈強でスポーティな外観が新鮮。多彩な機構や新素材が選べる。
スポーツ・コレクション が似合う年代といえば?
正確で美しく見やすい究極の腕時計を目指す
1913年、国産初の腕時計「ローレル」を発表して以来、セイコーは高精度を追求してきた。その技術をすべて注ぎこみ、1960年に誕生したのが「グランドセイコー(GS)」である。
目指したのは、「世界に挑戦する国産最高級の腕時計」。当時、精度において国内に敵なしだった「クラウン」に搭載されたムーブメントをベースとし、加工精度に優れたパーツを厳選し組み立て、入念に調整された初代GSは、国産初のスイス・クロノメーター検査基準優秀級規格に準拠したモデルとして、華々しくデビューを飾った。
以降GSは、「正確さ」「美しさ」「見やすさ」を追求し、多くの名作を生み出してきた。そんなGSの歴史を語る上で欠かせないのが、1967年に発表された「4GS」である。鏡面仕上げの多面的なケースの造形など、後述する美しくかつ普遍的な「セイコースタイル」を確立したモデルだからだ。
正確さにおいてもGSは世界の時計界をリードしてきた。セイコーは1946年から1968年の間、スイスの天文台が行う精度コンクールに参加。輝かしい実績を残してきた。その技術を、市販モデルのGSに生かしたのだ。1968年誕生の「61GS」に搭載した毎秒10振動のハイビートムーブメントである。その翌年には、月差±1分以内という驚異的な精度を誇る「V.F.A.」を発表。機械式における究極の高精度を実現した。
1970年代半ば、GSの名は一時途絶える。その後、復活を果たしたのは1988年。新生GSが搭載したのは、年差±10秒という超高精度クオーツだった。1993年には、より高性能なクオーツ「9F8」が誕生。モーターへのパルスを通常の1秒間に1回から2回にする「ツインパルス制御モーター」などにより高いトルクをかなえ、視認性の高い大きな針を動かせるようにしたのだ。超高精度で見やすいことが、GSの誇りだ。
自ら課したハードルを高い技術力で越える
1990年代半ば、セイコーは市場からの要望を受け、機械式のGSを復活させることを決意した。しかし当時同社にあった機械式は、中級機用。GSに載せるに値する性能ではなかった。かくしてGS専用の機械式ムーブメントを新たに設計するという、壮大なプロジェクトがスタートすることとなる。開発に当たり、目標に掲げたのはスイスのクロノメーターを超える精度。さらに使いやすさも追求し、50時間駆動以上を目標とした。自ら課した高いハードルを、技術陣の努力によってクリアし、1998年新たな機械式「キャリバー9S」が完成。機械式GSが復活を果たした。
その後2006年にパワーリザーブが3日間に、2009年には毎秒10振動のハイビートを当時最新の技術で実現するなど、GSの機械式は進化。それと並行し、GS用のスプリングドライブの設計も進められていた。スプリングドライブとは、セイコーが1999年に発売したゼンマイの巻き戻りを水晶振動子で制御する独自機構。それをGSの名にふさわしい72時間以上のパワーリザーブを持つ自動巻きへと進化させた「9R6」シリーズが、2004年に誕生する。スプリングドライブ搭載機はその後、クロノグラフやダイバーズなど新たなタイプも誕生させた。GSは、いつの時代も世界と戦える最先端にある。
1960年【初代グランドセイコー】
スイスの牙城に挑んだ初の国産時計
クラウン用のCal.560をベースに、高精度化したCal.3180を搭載。平均日差-3~+12という優れた精度を実現。手巻きで毎秒5振動。
1964年【GSセルフデーター】
実用性を増す2代目
カレンダー機構を追加した2代目GS。防水性能も初代が非防水であったのに対し、50m防水を実現していた。ケースはSSに加え、18Kモデルも一部存在した。
1967年【44GS】
デザインコードを確立
初の第二精工舎(現セイコーインスツル)製作モデル。多くの人の心を動かす「燦然と輝くウオッチ」を目指すセイコースタイルが、このモデルによって確立された。
1967年【62GS】
初の自動巻きモデル
GS初の自動巻き搭載モデルは、デイデイトを装備。巻き上げる必要がないことを見た目でも強調するため、リューズは4時位置に埋め込まれ、存在を希薄にしている。
1968年【61GS】
10振動の市販モデル
国産初の10振動自動巻きの市販モデル。巻き上げ方式は、セイコー独自のマジックレバーが採用された。ハイビートで等時性や耐衝撃性はより高まった。諏訪精工舎製。
1969年【V.F.A.】
超高精度な“特別調整品”
V.F.A.はVery Fine Adjustedの略。自動巻き、手巻きともに10振動で、かつ日差±1秒の超高精度を実現した。グランドセイコー特別調製品の名で販売された。
1988年【95GS】
クオーツ搭載でGSの名が復活
年差±10秒という最高クラスの高精度クオーツムーブメントを搭載し復活した新生GS1号機。他のクオーツよりも物性が優れた水晶を厳選し、高精度をかなえた。
1993年【9F8シリーズ】
クオーツを超えたクオーツ
モーターを1/2秒ステップで動かすツインパルス制御によりトルクを加。より大きな針を動かし、視認性を高めた。カレンダーも既存のクオーツにはなかった瞬転式に。
1998年【9S5シリーズ】
復活を果たしたメカニカルGS初号機
高効率なマジックレバー式の自動巻き機構を備え、シングルバレルで50時間のパワーリザーブを実現。6姿勢での平均日差-3~+5秒という高精度な新GS規格も制定された。毎秒8振動。
2002年【9S56シリーズ】
GS史上初の第4の針
中3針のみで展開してきたGSに、初めて第4の針=24時間GMT針が追加された。GMT用の目盛りはベゼルに刻み、高い視認性を確保。
2006年【9S67シリーズ】
3日巻きへと進化
9S5シリーズの進化形。香箱の大きさは変えず、ゼンマイの厚みと幅とを改良することで、シングルバレルで72時間駆動を実現した。
2007年【9R8シリーズ】
GS初のクロノグラフ
自動巻きスプリングドライブによる垂直クラッチ式のクロノグラフを新開発。ゼンマイで駆動するクロノの中で最高峰の精度を誇る。
2008年【初のGSダイバー】
高品質で深海に挑む
自動巻きスプリングドライブを気密で屈強なシルエットのケースで包み、200m防水を達成。ダイヤルも、視認性が極めて優れている。
2004年【9R6シリーズ】
第3のムーブを初搭載
GS初のスプリングドライブ搭載機。4年の歳月を掛けた専用設計で、同機構初の自動巻きで72時間のロングパワーリザーブを実現した。平均月差は±15秒というクオーツと同等の高精度。
2009年【9S8シリーズ】
伝統の10振動復活
毎秒10振動の機械式ハイビートを、最新技術で新設計。精密成型技術MEMSで最適化・軽量化された脱進機により、効率と精度を高めた。
2016年【ブラックセラミック】
GSの新たな時代を開く
アウターケースにセラミック、インナーケースにブライトチタンを採用。オールブラックの外観で、既存のGSのイメージを一新した。
2016年【9Rスプリングドライブ 8Days】
長時間駆動を実現
スプリングドライブによる複雑機構や高級機を手掛けるマイクロアーティスト工房による初のGS。手巻きの同機構で8日巻きを実現した。
ほとんどのパーツを自社で製造する真のマニュファクチュール
前述したようにGSはかつて2つの時計製造部門、諏訪精工舎と第二精工舎とが技術を研鑽し合い、精度と美しさとを極めてきた。現代のGSも、それらを前身とする2つの工房が伝統的な手仕事を継承しながら、最新技術も導入し製作している。
機械式を担当するのは、盛岡セイコー工業。ここは、時計製作に必要な部品の製造・加工から組み立てまでがすべて行えるマニュファクチュール。金属メッキを積層して形作る超精密成型技術MEMSも導入。これにより軽量化かつ歯型が最適化されたGS専用の脱進機が生まれた。
そして各部品の手仕上げと組み立ては、2004年に建物内に設立された「雫石高級時計工房」が担う。卓越した技術を持つ職人たちが、最高峰の機械式時計を生み出している。各パーツを磨き、テンプの重さの偏りを取り除き、入念に調整したひげゼンマイを取り付ける。これらを丁寧に手で組み上げることで、GSならではの高精度と優れた美観が備わるのである。
クオーツとスプリングドライブは、セイコーエプソン塩尻事業所内にある「信州時の匠工房」で作られている。ここもまた、全パーツを自社製造するマニュファクチュール。さらに同工房にある時計製造の各分野のスペシャリストが集結した「マイクロアーティスト工房」では、完璧な手仕上げでムーブメント自体の美を極めた「9Rスプリングドライブ 8Days」が特別製造されている。
盛岡と塩尻、2つの工房からGSは世界へと打って出る。
最適化が図られる時計精度の心臓部
ひげゼンマイとテンワも、自社グループ内で製作。テンプは、10万分の1g単位で重量調整が行われている。さらにひげゼンマイとテンワをいくつかの種類に分類し、最適なマッチングで入念に調整し組み合わされる。
丁寧な手組み技術を継承
組み立て中の9Sメカニカル・ムーブメント。ブリッジに施された波目模様が美しい。技術者自身が使いやすいよう削った柘植(つげ)の木を用い、ブリッジに傷がつかないよう慎重に位置が決められている。精度に加え美観の高さもGSらしさだ。
命を吹き込む現代の名工
雫石高級時計工房は、幾人もの卓越した技能者=「現代の名工」を輩出してきた。2018年には新たに伊藤勉氏が選ばれ、厚生労働大臣から表彰を受けた。伊藤氏は2000年に同工房に配属。9Sメカニカルを担当する。
美観も優れる第3のムーブ
セイコーエプソン塩尻事業所「信州時の匠工房」で組み立てられる9Rスプリングドライブ。ゼンマイで駆動するため機械式に似た輪列を持ち、それらを支えるブリッジは、やはり美しい波目模様が施される。
光と影とを操作し燦然と輝くウオッチ
GSの歴史で述べたように、今あるセイコースタイルは1967年「44GS」によって確立された。目指したのは、燦然と輝くウオッチ。それをかなえるため「平面を主体として、平面と二次曲面から成るデザイン。
三次曲面は原則としてとり入れない」「ケース・ダイヤル・針のすべてにわたって極力平面部の面積を多くする」「各面は原則として鏡面とし、その鏡面からは極力歪みをなくす」という3つの方針が定められた。そしてこれらから導き出されたのが、9つのデザイン要素。
①他のインデックスの2倍の幅を持つ12時インデックス / 12時位置が2倍の太さとなることで、ダイヤル上の縦のラインが強調されて、視認性がより高まる。
②多面カットのインデックス / 多面カットは光を受け煌めき、美しさと高い視認性を両立する。
③鏡面研磨されたガラス縁上面 / 歪みがない平滑な鏡面のベゼルは、ダイヤルへと視線を誘う。
④鏡面研磨されたケース平面 / 鏡面の平面が多い立体とし、硬く鋭い印象を作り出す。
⑤半ば胴に埋めたリューズ / 装着時に手首に当たらない配慮。
⑥フラットダイヤル / 針とインデックスとが浮き立ち見やすい。
⑦多面カットの太い時分針 / 多面体により美しく煌めき、かつ視認性も高められる。
⑧接線サイドライン / ケースとベゼルが接するサイドラインを大きな曲線とすることで、造形の鋭い印象を和らげる。
⑨逆斜面形状のベゼル側面とケース側面 / 逆斜面の下に影が生じ、鏡面の輝きを複雑に演出。
技術革新に邁進し究極の正確さを目指す
既述したようにGSは誕生以来、「正確さ」「美しさ」「見やすさ」を追い求めてきた。その正確さを担うのは、もちろんムーブメント。初代が搭載したキャリバー3180は、毎秒5振動のロービートだった。大きなテンワで慣性モーメントを高めることで、高精度をかなえていたのである。さらにその後、毎秒10振動のハイビートによる高精度技術でGSは時計界をリードした。
現行のGSが積むムーブメントには、クオーツの「9F」系、スプリングドライブの「9R」系、メカニカルの「9S」系の3タイプがラインナップ。そのいずれもがGSにふさわしい高精度や革新性を備えている。元来、トルクが小さく大きな針が動かせないクオーツを革新し、大型針を動かし「見やすさ」をも両立したことは、前に語ったとおり。
スプリングドライブはセイコー独自の機構。ゼンマイのカで発電ローターを動かし、その電力で水晶振動子とICから成る制御装置を駆動する。同時にICが水晶振動子からの信号と発電ローターの回転速度を比較し、一定速度で動くよう電磁ブレーキを掛ける。クオーツの高精度を示す、流れるような針の動きはこうして生まれる。
機械式も、前述のMEMSによって軽量化・最適化が図られ、脱進機のガンギ車は、歯先に段差を持ちオイルを長く保持する。さらにひげゼンマイのために独自素材スプロン610を開発。従来の合金と比べて耐磁性に優れ、耐衝撃性も向上。現行のキャリバーに冠される9は“究”に通ずる。GSには究極のムーブメントが潜む。
時計大国スイスに対抗すべく、はるかに高い精度基準を設定!
クロノメーター(高精度時計であることの国際認定規格)を凌駕するGS規格検定で、世界最高レベルの高精度を保証。17日間の検定日数で6姿勢、3温度差でのテストを課し、平均日差-3~+5という数値は、世界トップレベル。温度差と姿勢差をクロノメーターよりも増やしているのは、「日常使い」で精度を安定させるという、GSの志の表れ。最高の実用時計であることを、この規格が証明している。
重要パーツは焼き入れ
驚きの耐久性の秘密がコレ! 金属の表面は「焼き入れ」という熱処理をすると硬くなり、耐久性が大幅にアップする。しかもこの処理はスイス製でも一部の超高級モデルしか採用されないもの。しかしGSの機械式ではすべてのモデルの重要パーツにこの処理を施している。
完全自社生産の平ヒゲゼンマイ
最重要パーツのヒゲゼンマイは素材から独自開発。成形から焼き入れまですべて自社で行われ、天輪の中に組み込まれる。そして熟練の時計技能士が渦巻きの中にピンセットを差し込んでミクロン単位の調整「振れ取り」を行って完成する。
制度を格段に安定させる「MEMS(メムス)」
素材をメッキの手法で何層にも積み上げて成形するのがMEMS。細部の形状まで設計どおりに精密に作れる。その結果、理想的な形状のアンクルとガンギ車が完成して脱進機の作動が安定し、時間精度も格段に向上する。
現行は、どれも高精度なクォーツ、スプリングドライブ、メカニカルが揃う。
【9R15】
超高精度スプリングドライブ
優秀な水晶振動子を厳選。さらに組み立ての際、振動子を微調整することでスプリングドライブをより高精度にした。月差は±10秒。
【9R01】
見た目も美しい8日巻き
8日巻きのスプリングドライブ。3つの香箱を直列に配置し、長時間駆動をかなえた。巨大な一枚ブリッジは、手仕上げが実に美しい。
【9F82】
パワフルに大型針を回す
年差±10秒クオーツの標準機。輪列にゼンマイでテンションを掛けるバックラッシュオートアジャスト機構により、正確な運針を実現。
【9S61】
シンプルな3日巻きムーブ
GSでは最もスタンダードなメカニカル・ムーブ。中3針のみを備え、デイト表示を持たない。パワーリザーブは72時間。毎秒8振動。
【9S25】
女性用の小型自動巻き
2018年登場の最新自動巻き。女性用として開発され、微細な切削技術とMEMS技術で、パーツを小型化した。8振動で50時間駆動。
【9R86】
クロノ秒針がスイープ運針
スプリングドライブによる一体型クロノグラフ。コラムホイール+垂直クラッチを採用し、時・分積算計は1-2時と4-5時位置で縦に並ぶ。
【9S85】
メカニカルのフラッグシップ
毎秒10振動のメカニカル。MEMS製ガンギ車でハイビートの欠点である油飛びを防いだ。主ゼンマイを厚くし、55時間駆動を達成。
【9S65】
GSメカニカルの中核を担う
自動巻きGSメカニカルの基幹ムーブメント。72時間=3日間駆動に加えて、日付表示も装備している。毎秒8振動。
【9S64】
美観も優れた手巻きの機械式
毎秒(振動の手巻きムーブメント。大きなブリッジで全体を覆うことで、一体感のある美しい外観に仕立てた。パワーリザーブは72時間。
5振動から10振動、そしてクォーツへ。GS栄光の礎を築いた名作キャリバー。
【Cal.4520】
1968年に「45GS」に搭載された、手巻きの10振動ムーブメント。薄型設計でもあり、瞬転式のカレンダー表示を追加した仕様もあった。
【Cal.3180】
初代GSに、スイス・クロノメーター検査基準優秀級規格に準拠した精度を与えた名キャリバー。毎秒5振動。テンワは、かなり大きい。
【Cal.1964】
女性用の手巻きの毎秒10振動ムーブメント。1968年誕生の「19GS」に搭載された。1972年発売の女性用V.F.Aのベースとなった。
【Cal.6146】
1968年に生まれた、自動巻きの10振動キャリバー。巻き上げ方式に、セイコー独自のマジックレバー方式を採用した当時の最高級機。
【Cal.5646】
1970年発売の「56GS」用に開発された、薄型自動巻き。センターローターでも、ムーブメント厚4.5mmを実現していた。毎秒10振動。
【Cal.4580】
左上のCal.4520を構成する全パーツを吟味して入念に調整し、月差±1分以内の超高精度を実現したV.F.A.仕様。発売は、1969年。
【Cal.9587】
1988年、GSの名を復活させた年差クオーツ。温度・湿度に対する特性と、耐衝性に優れた水晶振動子を厳選し、年差±10秒を達成。
【Cal.6245】
1967年発表のGS用初の自動巻き。デイトのみの6245とデイデイトの6246が存在した。手巻き機構を持たず、リューズは4時位置。
【Cal.6156】
Cal.61系のスペシャル仕様キャリバー。精度はV.F.A.に次ぐ日差-3~+3秒を誇った。発売はV.F.A.の翌年の1970年。
■メーカー保証期間
2年。
■オーバーホールの推奨期間
機械式は2~3年毎、スプリングドライブと高精度年差クオーツは3~4年毎。
■オーバーホールの基本料金
メカニカル:4万2000円。スプリングドライブ:4万7000円。スプリングドライブクロノグラフ:7万4000円。高精度年差クオーツ:3万6000円。
■オーバーホールに外装の仕上げは含まれるか?
ケースやメタルバンドへのライトポリッシングが含まれる。
■オーバーホール後の保証期間
1年。
■オーバーホールの納期
4~6週間。
■古い時計の修理は、何年前のモデルまで可能か?
可能な限り対応するが、摩耗や腐食が進行し、交換が必要な部品在庫が無い場合は修理不可。
グランドセイコーをいつまでも快適に愛用してもらうために、セイコーではセイコープレミアムウォッチサービスステーションで行う純正メンテナンスプログラム「グランドセイコーコンプリートサービス」を2~3年ごとに受けることを推奨している。
このサービスを利用するには、購入した販売店にGSを持ち込み「グランドセイコーコンプリートサービス」を依頼すればOK。また、公式サイトでも受付可能。時計店に行く時間がない、そんな人にちょうどいい。
作業の効率よりも最高レベルの修理品質と信頼性を追求!
時計修理の世界では、特殊な技術とスキルが必要なコンプリケーションモデルを除けば、作業は効率の良い分業体制で行うことが多い。しかしGSの場合は時計技能士が、コンプリケーションモデルと同様に、作業の最初から最後まで(研磨作業除く)をひとりで、誇りと責任を持って担当し最高レベルの修理品質を追求している。
過去の修理の内容や使用状況まで修理に役立つすべてのデータを記録
修理や調整を迅速・適切に行うためには、その時計に関する情報は多ければ多いほどいい。セイコープレミアムウオッチサービスステーションでは、販売時の情報から過去の修理履歴はもちろん、パーツ部材の管理状況まで、その時計の修理に役立つあらゆる情報をデータベース化。次の修理に活かす情報管理体制が整えられている。
1988年以降に生産されたGSのサービスパーツを保管
完璧な修理に欠かせないのがブランド純正のパーツ。セイコーサービスセンターには、ムーブメントや文字盤や針、バンド物など、さまざまなパーツが24時間365日温湿度管理され、ストックされている。その種類は数万種類数百万個にも達する。1960年代のGSのパーツもモデルによってはあるというから驚きだ。
繊細な作業には実体顕微鏡を使い最高の修理品質を追求!
一般的な時計工房では、作業に顕微鏡を使うことは、実はそれほど多くはない。ところがセイコープレミアムウオッチサービスステーションでは、ほとんどの作業机に工業用の実体顕微鏡が備えられ、さまざまな作業に活用されている。肉眼で見ただけではわからない、細かな部分にまで神経を払った繊細な作業が行われている。
製造現場と同じ高度な手作業で高精度を復元!
修理に入ってきた時よりも高い精度を実現する。それがこの場所で働く時計修理技能士たちの目標。そのためGSメカニカルモデルの場合には、雫石高級時計工房でムーブメントを組み上げる際とまったく同じ、手作業によるテンプとヒゲゼンマイの振れ取り、てん輪の重取りなど1/100mm、1/100mg単位の微細な調整を行う。
1.ライトポリッシュ(研磨仕上げ)
ライトポリッシュはガラスのザラツ研磨、ケース胴・メタルバンドのバフ研磨、筋目付けなどを行う。ケースやメタルバンドに付いてしまった傷は、ごく浅いものならライトポリッシュの軽い研磨仕上げだけで目立たないレベルになる。
特にザラツ研磨はGSのシャープなラインを復元させるために必要な作業。ただ深い傷を消したいなら、別料金で本格的な磨き直しを依頼ましょう。
本格研磨もオプションで
熟練の磨き職人が行う本格研磨によるケース・バンドの磨き直しは、有料オプションサービス。でもコンプリートサービスと一緒に依頼すると研磨代が割引となりお得に。※本格研磨でも深い打痕などは取ることができない場合もあります。
2.オーバーホール
部品をバラバラにして洗浄し、再び組立てるオーバーホール(分解掃除)は、メカニカルムーブメントには欠かせないメンテナンス作業。特殊な液体を満たした超音波洗浄機にかけることで、長年の使用で部品にこびり付いた潤滑油や金属粉が取り除かれ、部品は新品同様のキレイな状態になる。
3.精度をチェックし、ズレを補正する
1998年発売以降のGSメカニカルモデルは、実際に着用した携帯精度では平均日差プラス10秒~マイナス1秒程度が目安。個々の時計をきめ細かく診断し、ユーザーの使用状況を考慮した調整を行ってくれる。
4.磁気帯を除去
強力な磁気を発生する機器が身近に数多くある今の時代。ケースやムーブメントのパーツがその影響を受け、磁気を帯びて精度が低下するのはよくあること。コンプリートサービスでは、脱磁機でわずかな磁気帯びも取り除く「脱磁」を修理前の工程として行っている。
メンズファッションブランドナビ編集部
“本当に正しい情報だけ”を目指し、その分野において「雑誌掲載の実績・専門家の評価・人々の話題性」など、相応しいブランドだけを掲載しています。