吉田カバンの吉田さん他、ナイロン~レザー、キャンバスまで、プロがバッグのお手入れ方法を伝授!
実はひと手間かけて手入れするだけで、見た目がよくなるのはもちろん、寿命は格段に長くなるお手入れ。
ここでは素材別にバッグの手入れをご紹介!
【素材別】バッグのお手入れ方法
■1.ナイロンバッグ編
■2.キャンバスバッグ編
■3.PVCバッグ編
■4.レザーバッグ編
革製品と異なり、手入れをおろそかにしがちなナイロンバッグ。ごく簡単な「たったひと手間」を普段から心がけてあげましょう。
株式会社 吉田・岡田博之さん
「1」ナイロンバッグの手入れに必要な“三種の神器”はコチラ
ナイロンバッグの手入れには、ブラッシングするためのブラシ、防水、防汚効果を与えて物を保護するためのスプレー、かたく絞った濡れタオルの3点を用意。なお、ブラシとスプレーは、吉田の直営店で購入可能。ブラシは1,050円、スプレーは2,100円
「2」購入後、まずは防水、スプレーをひと吹き
購入後すぐにスプレーをバッグ全体にひと吹き。防水のみならず、油や汚れがつきにくくなるので、ぜひやっておきたい。20~30cm離して、まんべんなく吹きかけること。近すぎるとシミの原因になってしまうので注意。その後は週1回のスプレーを心がけよう。
「3」全体にブラシをかけてゴミやホコリを払う
1日持ち歩くだけで、意外とゴミやホコリが付着してしまう。家に帰ったら、まず全体をブラッシング。それだけで、生地の傷みを防ぎ長持ちさせることができる。生地の目に合わせて、軽くブラッシングするのがコツ。ブラシは硬すぎず柔らかすぎずの豚毛がベスト。
「4」ファスナー周りやステッチの側も忘れずに
ファスナー周りのテープ部やステッチの溝などは、ゴミやホコリがとても溜まりやすい部分。特にファスナー周りは、ファスナーの開閉にも関わるので、細かいところだが忘れずに、かつ入念にブラシをかけて、ゴミやホコリを払っておこう。
「5」鞄の中に入ったホコリやゴミもブラシで掻き出す
鞄の中にだってゴミやホコリが入り込んでしまう。ブラシを全体にかけて、生地目に詰まったホコリを払い、掻き出すようにして取り除こう。縫い目や角など、ゴミやホコリがたまりやすくかつブラシをかけにくい箇所は、鞄をグルッと裏返しにしてブラシをかけよう。
「6」汚れがついてしまったら濡れタオルで叩くように
もし汚れがついてしまったら、中性洗剤を水に溶かしたものにタオルを浸し、かたく絞ったもので上から叩くようにして拭く。擦ってしまうと汚れが繊維に入り込んでしまう可能性があるので、あくまで“ポンポンと軽く叩くように”がポイントです。
「7」潤滑スプレーでストレスなく開閉
使用頻度の高いファスナー部分の滑りが悪くなった時は、市販されているファスナー用潤滑スプレーをひと吹き。スライダーというファスナーを留める金具に照準を絞り、シュッと吹きかけるだけでOK。大量にかけると周りの生地に油ジミがついてしまうので注意。
キャンバス地の鞄の手入れ方法はナイロン地とほとんど同じ。使ったら手入れ、を心がけましょう。
「1」作業工程はナイロン素材とほとんど同じでOK
購入後は防水スプレーをひと吹き。そして使用したら、キャンバス地もナイロン同様に、豚毛のブラシで全体をブラッシング。ファスナー周りなどのゴミやホコリが溜まりやすいところも忘れずにブラシをかけよう。
「2」汚れが目立ったら水拭きただし、色落ちに注意
表面の汚れが目立ってきたら、中性洗剤を溶かした水に浸してかたく絞ったタオルでポンポンと叩くようにして落とす。キャンバス地はナイロンと違い、色落ちの可能性があるので、こすらず叩くことを意識しよう。
水や汚れに強いPVC(塩化ビニール)加工のバッグは、濡れタオルでガンガン拭いてケアしよう
ひどい汚れは消しゴムで
水に強い素材のため、日常防水スプレーは不要。汚れた時は濡れたタオルで拭いてケアすればOK。ライナーはブラシをかけてゴミやホコリを取り除くこと。また目立つ汚れは消しゴムを使うと簡単に消えることも。
ビジネスシーンで活躍するレザーバッグ。使い込むほどに、汚れや傷がつきもの。しっかりとケアすることで、ビジネススタイルに差がつきます。
万双・矢崎 哲さん
「1」用意するのはタオルと革用クリームのみ
レザーバッグのケアに必要なのは、タオルや不織布などの布地と、革に栄養を与えるクリームのみ。クリームは靴墨のような色の入ったものでもよいが、革本来の色を楽しむためには、天然色のものを選びたい。布地は使い古しのTシャツなどでも代用は可能です。
「2」ステッチ周りについたホコリや汚れを除去
ステッチ周りやファスナー部付近にはゴミやホコリが溜まりやすいので、布地で丁寧に払う。もちろん豚毛のブラシなどで払うのもいいが、傷をつけてしまう恐れもあるので、タオルなどの布地で払うだけでも十分である。一度使ったら、欠かさずにケアしたい。
「3」全体も軽くタオルでゴミやホコリを払う
この後に革用のクリームを塗り、革に栄養を与えるのだが、その前にホコリなどをしっかりと落としておくこと。怠るとせっかくの栄養がホコリに邪魔されて行き渡らない恐れがあるから。乳液をする前に洗顔、という人間の肌と同じように考えて、優しくケアしよう。
「4」1回の容量は米粒大ふたの裏でなじませて
不織布を指に巻き付け、クリームを布の先端にとる。一度に大量のクリームをとって塗ってしまうと、一部に栄養が入り込み過ぎてシミの原因になってしまう。1回の容量は米粒程度で、が鉄則。ふたの裏で馴染ませてから鞄に塗れば、失敗のリスクは少なくなる。
「5」少しずつ、円を描くように薄く塗り広げていく
いよいよクリームを塗るのですが、革とクリームの相性が悪い場合もあるので、目立たないところで試し塗りをしてから。大丈夫そうなら、少しずつ、円を描くようにして塗り広げていく。塗りがスムーズでなくなったら、再度クリームをとって塗る。この繰り返し。
「6」乾いた布で余分なクリームを拭き取る
全体に塗り終えたらしばらく置き、乾いた布で乾拭き。余分なクリームを拭き取るようなイメージで何度か乾拭きを行う。すると革がもつ本来の自然な光沢が出てくる。クリームは1週間に1度程度に施すのがベスト。革独特の見事な経年変化を楽しむことができる。
〈POINT!〉水に濡れてできたシミは濡れタオルで消す!
水ジミができた時は、まず全体をかたく絞った濡れタオルでまんべんなく拭き、シミの箇所をポンポンと叩く。乾いた時にはいつの間にか目立たなくなっている。革は水に弱いイメージがあるが、適度な水分なら問題ない。水分が革繊維の奥に入り込む前に対処したい
〈POINT!〉引っ掻き傷はこするだけで自然と消える
革製品にありがちな引っ掻き傷。表面を爪で引っ掻いた程度、の浅い傷なら、指に不織布を巻き少し強めの力で傷を上から何度かこするだけで、跡も残らず消える。左手はバッグの内側から修復箇所を押し付けるようにサポートするとなおよい。
「7」汚れやすいハンドルは市販の消しゴムでケア
直接手に触れるハンドルは、手の脂や汗、手垢などでとくに汚れやすい箇所。普段のケアは一般的な消しゴムをかけることで、面白いようにとれる。砂消しは傷になるのでNG。汚れがひどくなったら、市販の革用リムーバーなどでケアしよう。
「8」色抜けしやすいコバは市販のコバインクで
コバの染料がはがれてきた時は、市販のコバインクで色を充填。細かい作業がしやすい綿棒にインクを適量取り、色抜けした箇所を中心に少しずつ塗っていく。一度に塗ると失敗のもとなので、数回に分けて。最後に不織布で余分なインクを拭き取り、定着させる
「9」ブライドルレザーのロウは乾拭きで拭き取っておく
ロウをたっぷりと染み込ませたブライドルレザーは、ブルームと呼ばれる白い粉が表面に浮き出ている。これはロウが浮き出ている状態で、衣服を汚してしまうので、乾拭きでブルームを取り去っておくこと
〈POINT!〉雨に濡れたら中に新聞紙を詰め風通しのよいところで乾かす
ゲリラ豪雨などでレザーバッグがひどく濡れてしまったら、すぐに乾拭きで水気を拭き取り、風通しのよいところで乾かす。このとき、中に新聞紙を詰めておくと、中の水気を吸収し、型くずれを防いでくれる。乾いたらクリームで栄養を与えると◎
「10」毎日の乾拭きで生まれる宝石のような光沢感
使い込むことで経年変化による光沢を楽しめる革製品。とくにオイルドレザーの場合は、乾拭きをするだけで革に染み込んだオイルが浮き出て、その光沢はさらに輝きを増す。写真の左が新品、右が使用から1年が経過したもの。革のケアにはこんな楽しみもあるのだ
メンズファッションブランドナビ編集部
“本当に正しい情報だけ”を目指し、その分野において「雑誌掲載の実績・専門家の評価・人々の話題性」など、相応しいブランドだけを掲載しています。