ブランドの頂点「名作コンプリケーション時計」をご紹介。
1000万・3000万は当たり前、中には1億円以上も存在するコンプリケーション時計。
今回は腕時計ブランドからジュエリーブランドまで、各ブランドを代表するコンプリケーション時計の紹介。また、コンプリケーションについて解説しています。
【1】コンプリケーション時計について
【2】腕時計ブランド×コンプリケーション腕時計
■ブレゲ
■IWC
■ウブロ
■ゼニス
■パネライ
【3】ジュエリーブランド×コンプリケーション腕時計
■シャネル
■ピアジェ
■ブルガリ
トゥールビヨンや永久カレンダー、ミニッツリピーターなどの複雑機構を搭載した機械式時計の総称。
下記では、コンプリケーションに搭載される主な4つの複雑機構「4大複雑機構」を解説しています。
時計部品が受ける重力の影響を平均化する複雑機構。
時計がどんな姿勢のときでも安定した精度を維持できるよう、テンプルやアンクルなどの調速&脱進機構を「キャリッジ」と呼ばれる小さなケージに収め、常に回転させておく装置。
半永久的に暦に則った日付を表示する複雑機構 (別名:パーペチュアルカレンダー)。
月による日数の違いや、4年に1度のうるう年を自動調整してくれる。
専用のスライドレバーやボタン類を操作すると、鐘の音色で分単位(ミニッツ)まで現在時刻を知らせる複雑機構。
機械式時計の場合は、マニュファクチュールなど超高級ブランドのみがこれを製作し、価格も高額となっている。
クロノグラフ計測専用の秒針を2本備えた複雑機構。
2人のランナーのそれぞれのタイムを計測したり、ラップタイム(中間地点から次の地点までの経過時間)などの計測ができる。
創業者は、ご存じ18世紀の天才時計師。その開発精神は、現代にも受け継がれている。脱進機にシリコンをいち早く採用したのも、革新性の表れ。磁石を用いた調速装置など前代未聞の機構にも挑む。
小宇宙を思わせる、回転に次ぐ回転の連鎖
トゥールビヨンという複雑機構(コンプリケーション)を装備する時計自体が希少な上に、キャリッジを2つ装備することでますます複雑さが増し、さらに、文字盤の回転と組み合わせるなど前代未聞の構造となっている。このメカニズムの実現にあたり、開発した特許技術は3件にも及ぶ。
文字盤上で、回転に回転を重ねるメカニズムは、まさに小宇宙。この時計の裏ブタに、歯車の輪列を見せる開口部がこ設けられるとともに、太陽系の惑星の姿が刻まれたのは、そんなメカニズムの様態にインスパイされたからこそ。
その複雑さ、機構や部品の微細さ、設計や製造の難易度の高さは、数あるトゥールビヨンウォッ チの中でも屈指のものである。まさに、時計史の偉人の遺伝子を継承・発展させるブレゲというブランドにおいて、最高峰の時計となっている。
参考価格:3920万円
伝統的な意匠を身にまとい、2つの複雑機構を搭載
微小なパーツの数が多いコンプリケーション機能を複数搭載する時計は、一段も二段も価値が高い。この腕時計はそのコンプリケーション機能を2つ搭載する。1つは、9時位置側のスライドレバーを操作すると、音によって現在時刻を報知するミニッツリピーター。もう一つは、永久カレンダーである。
2005年にプラチナケースで発表されたモデルだが、2008年にゴールドケースモデルが登場。機能 とブレゲらしい伝統的意匠はそのまま、こだわりの改良が施された。それは、ミニッツリピーターの音を鳴らすゴングとそれを支えるゴングホルダーを、スチール製からゴールド製としたこと。
これにより、作動時に奏でられるチャイムの音量と音質が大幅に向上した。常に時計のメカニズムの進化を目指す、真摯な態度を実感できる時計となっている。
参考価格:3307万円
懐中時計時代の独創的機構を再現する
モデル名の「フュゼ」とは、フランス語で「円錐」。ゼンマイの入った香箱車から動力(トルク)を受け取る車が、円錐滑車ではチェーンでつながれ、香箱車はチェーンを巻き取っていく。それに引っ張られ、円錐滑車は回転。だんだんとチェーンは下方の大きな円の部分から引き出されるようになる。
すなわち、変速機付き自転車で自動的にギア比を軽くしているようなもの。ゼンマイの動力が弱くなっても、円錐滑車の回転速度は一定に保たれ、ひいては時計の動作も一定に保たれる。重力の影響を排除するトゥールビヨンとともに、機械式時計の高精度を追求した創始者アブラアン・ルイ・ブレゲの天才性を伝える機構とい える。
彼の発明である耐衝撃装置パラシュートなど、かつての懐中時計の機構を甦らせた「トラディション」コレクションにふさわしいメカニズムなのである。
参考価格:1820万円
創業以来、機械式時計に数多くの革新をもたらしてきたスイス時計界の名門中の名門。最高品質を自社で保証する独自のパテック・フィリップ・シールも制定。
奥ゆかしい姿勢も名門らしさの現れ
直線を生かしたアールデコ・スタイルのドレッシーウォッチ。一見するとノンデイトの端正な佇まいが目を惹くが、時計の裏側から覗くと、そこに搭載されているのは、精緻な10日巻きのトゥールビヨン・ムーブメント。つまり、最高峰の技術を搭載しておきながら、それをあえてアピールしないという奥ゆかしさが、この時計の特徴。
なぜ他ブランドのように、ダイヤル側にトゥールビヨンを露出させないのか? 実は紫外線を受けることで潤滑油が変質してしまうことを防ぐために、意図的に裏側に納めているそう。つまり、パテック フィリップにとって、トゥールビヨンは“飾り”ではなく、高精度を実現させるための“実用機構”なのである。
それを証明するように、パワーリザーブは10日間を実現。数日ぶりに使用しようと取り出した際も、きちんと駆動しており、正確な時刻を示し続けてくれる。
参考価格:2578万円
デザインの美しさでも抜群の完成度を誇る名機
6本の針と4つの小窓表示を駆使して情報を知らせる永久カレンダー搭載のクロノグラフ。3時位置のインダイヤルが30分間の積算計で、9時位置のものはスモールセコンドである。
永久カレンダー機構は、ブランドロゴ上の2つの窓で曜日と月を示し、6時位置にはポインターデイトを装備。一方、7~8時位置には昼夜表示を装備しており、昼間を白、夜間をブルーで表現。これは、カレンダー機構が動き始める夜8時以降にカレンダー調整をしないようにするための指標として使う。
2009年に発表されたクロノグラフ・ムーブメントの上に、永久カレンダー・モジュールを組み込んでいるものの、厚みは7mmに抑えている。そのためケース自体の厚みが12.4mmしかないというのも驚異的。
参考価格:1596万円
美しい夜空を腕に巻くという幸福
小さなケースの中に宇宙の神秘を詰め込んだコンプリケーション・ウォッチ「セレスティアル」。ダイヤル上に展開されるのは、パテック フィリップの本社があるスイス・ジュネーブから見える夜空。
この精緻に描き込まれた星空は、それぞれ回転する3枚のディスクで構成されており、ムーンフェイズも、満ち欠けしながらダイヤル上をゆっくりと回っていく。ちなみに楕円形に囲った部分が天空部分となっており、シリウス星や月の子午線通過時刻も表示する。
これらの機能は特に実用的というわけではない。しかし、世界のどこにいても、ジュネーブの夜空を自分の腕で楽しめるというのは、ロマンティックかつ贅沢この上ない。
参考価格:2835万円
旧ザクセン王国宮廷時計師の流れを汲む名門。東西冷戦による休眠を経て、1990年に再興を果たす。最上級の仕上げと精緻な機構で、世界的に高い評価を得るドイツの最高峰の時計マイスター。
ブランドの象徴的モデルに最上の複雑機構を搭載
東ドイツで国有化されて沈黙していたA.ランゲ&ゾーネの復刻第1号のモデル、それが1994年の「ランゲ1」。
その大きな特徴は、文字盤のセンターからずらして配した時刻の小表示盤と、2枚の大きなディスクで日付けを表示する独自のアウトサイズデイトを搭載するスタイルにある。同ブランドからはさまざまな機能を持つ派生モデルが生まれているが、その基本スタイルはこのモデルにおいても不変。
時計の規則正しい運動を生み出す精密なヒゲゼンマイを含め、すべてが自社開発・自社製造。その堂々たる姿を見せるトゥールビヨンのキャリッジは、質実剛健な精密機械の象徴である。そんな精緻なメカニズムに、かつてのザクセン国王の宮廷時計の流れを汲む芸術性を融合している。
スリムな角型のフォルムで120時間のパワーリザーブを搭載
長方形(レクタンギュラー)のカバレットは、A.ランゲ&ゾーネの自社開発・自社製造のムーブメントのみを使うという理念を象徴するモデル。これはレクタンギュラー用の専用の四角いムーブメントには、円形パーツの合理的な配置が難しく、他社での設計・開発が困難なためである。
トゥールビヨンでは60秒周期で回転するキャリッジ内のテンプの動きを停止させられないため、長年にわたり実現不可能とされてきた時刻調整時の秒針停止機構まで装備させている。これは世界初となる特許技術である。さらに、ゼンマイを格納する香箱車を2つ搭載し、120時間=5日間ものパワーリザーブを有するなど、横30mm足らずの細身のケースに納められたメカニズムの画期性にはうならされるばかり。
参考価格:2463万円
個性的な名作のデザインと古典的機構を融合
科学者にして発明家だったA.ランゲ&ゾーネの2代目の名を冠したコレクションに登場したトゥールビヨンウォッチで、精度向上に寄与する3つの機構が特徴。
第一は、トゥールビヨン。文字盤の8時位置にキャリッジを装備する。第二に、鎖引き機構(チェーン・フュゼ)。無段階の変速機の原理により、時計の動作を長く一定に保てる。第三に、同社が世界で初めて実現したトゥールビヨンにおける秒針停止機構。これにより、秒単位で常に正確な時計合わせが可能に。
デザインは18世紀の精密時計師が制作した高精度クロノメーターがモチーフで、時・分・秒の文字盤を別個にし、バランスよく配置。時刻表示盤の8~10時の部分が見え隠れする仕組みも独創的。
参考価格:1647万4500円
創業から一度も途切れることなく現代に至る、最古の時計メゾン。複雑機構も叶えるジュネーブを代表する名門マニュファクチュール。
エレガントなキャリッジが14日間にわたり動き続ける
4世紀半以上の歴史を誇る最古の時計ブランド『ヴァシュロン・コンスタンタン』。そんな名門のコンプリケーションがこの時計であり、時計に対する重力の影響を排除するトゥールビヨンを搭載している。
ブランドのトレードマークであるマルタ十字を象った姿は優雅であり、採用されたCal.2260は、外観の装飾にも隙がなく、秀逸な仕上がりに。さらに、この時計の稼働時間は何と14日間。ムーブメントの直径は30mmを切るのに、ゼンマイを収める香箱2つを1ペアに重ね、それを2組……合計4つも搭載しているため、ゼンマイの総延長は2.2mmにも及ぶ。
また、動作を軽やかにするため、時計の規則正しい動きを生むアンクルの軸を受ける部分を鏡面に磨き上げる。それだけでも11時間以上にも及ぶ手作業が必要になるというのだから、並大抵の技術ではない。
参考価格:2289万円
3大コンプリケーションが1つの時計の豪華競演
機械式時計のコンプリケーション機構は、そのひとつひとつが精緻を極める。中でも最上位とされるのは、時計の精度を重力の影響から守るトゥールビヨン、2100年まで暦の調整が不要な永久カレンダー、ゴングを鳴らして現在時刻を報せるミニッツリピーターの3つ。これらのすべて搭載するこの時計の価値は、ずば抜けて高い。
トゥールビヨンのキャリッジは6時位置からややセンター寄りに配し、存在感を強調。カレンダーのうち月・日付・曜日は小ダイヤルと指針で、閏年は1時位置の小ぶりな窓に表示する。このように文字盤のデザインと機能が渾然一体となっている。
また、3つのコンプリケーションを搭載しながらケース厚はたったの13.6mm。まさに機械式時計の精華であり、やはり何世代モノの時計と呼ぶのにふさわしい。
参考価格:6258万円
クラシカルでスリムな絶品クロノグラフ
手巻き式でクロノグラフと、2100年まで調整不要な永久カレンダーを合体させたモデル。通常この2つの機構を重複して搭載されば厚みが出てしまう。しかし、この時計のケース厚は12.9mmとスリムにまとめている。さらにシースルーの裏ブタから見えるムーブメントの機構もそのもの。
小秒針を9時位置に、30分積算計を3時位置に配したクロノグラフをベースに、カレンダー機構を配置。一方で、文字盤は広々と感じられ、見やすい作りとなっており、古典的なデザインとまっちしているのは“さすが”というほかない。
参考価格:1043万7000円
今も創業者一族による独立経営が続けられる希有な時計メゾン。世界初の
伝統的な複雑機構とモダンスタイルを融合
ミニッツリピーター、永久カレンダー、スプリットセコンド・クロノグラフと、4大複雑機構のうちのトゥールビヨンを除く3つを搭載。
そして、圧巻はその外観。「オフショア」スタイルを継承した直径44mmの大型チタンケースに、ブラックセラミック製のベゼルとリューズ、プッシュボタンを装備。さらに文字盤はオープンワーク仕様となり、手作業による面取りやポリッシュ仕上げの後、ブラック加工を施したムーブメントパーツを見ることが可能に。
ブランドの伝統である複雑機構と、近年の象徴ともなるエクストリーム系スタイル。まさに、その2大エッセンスを理想的な形で複合した最高級モデル。
参考価格:7500万円
ブリッジや地板も個性溢れるスケルトン・トゥールビヨン
創業者の1人であり、複雑時計の普及に大きく貢献したエドワール ピゲの名を冠す角型モデル。スケルトン仕様のケース内を走るブリッジは、あのガリレオ・ガリレイが発明した振り子に着想を得ている。
そのブリッジを軸として縦方向に並ぶ輪列に加え、6時位置にはトゥールビヨン・ゲージを配置。透過性の高い文字盤越しに、それらの個性的スタイルを全て見ることができるのは、機械好きにとっては堪らない。
参考価格:4200万円
妙なる音色が時を知らせる極上ミニッツリピーター
オープンワーク文字盤から、複雑機構を満載したムーブメントがひと目で見えるハイコンプリケーションウォッチ。このモデルの最大の注目点は、複雑系時計の中で最も高度な機構を誇るミニッツリピーター(時刻を鐘の音で知らせる機構)。
濁りのないより華麗な響きを実現する、ジュウ渓谷の時計職人の間で受け継がれてきた「ストライキングハンマー」という特殊機構を採用。時を告げる澄んだ音色は、心にも響く。
参考価格:5775万円
天才と称賛された時計師が自らの名を冠し創業。レマン湖湖畔のジャントゥの街にウォッチブランドを構える。革新的機構と独創的デザインとで、トップ・ブランドのひとつに成長
複雑時計の先駆者が至った、究極のコンプリケーション
今あるハイコンプリケーション開発競争の流れを作った『フランク・ミュラー』渾身の1本。搭載するのは、トゥールビヨン、スプリットセコンドクロノグラフ、4つのゴングを備えるウェストンスターカリヨンによるグランソヌリとプチヌリ、ミニッツリピーター、均時差表示などなど。
多針による表示なもののレイアウトは巧みで、12時位置の日付表示と12時間積算計はレトログラードにするなど機構にも凝る。トゥールビヨンの左右には、2つの異なる時間帯を表示する3タイムゾーンであり、左側のインダイヤルの上にはホームタイムの昼夜が分かる24時間表示も備えている。
これほど複雑で多彩な機能を動かす2つの香箱は、マイクロローターで巻き上げられる自動巻き。腕に着け続ければ、1000年周期のカレンダーの再調整は不要である。
参考価格:3億450万円
超複雑機構搭載機の美観を整える外装技術
2003年から続くこのモデルは、大きく上へとオフセットされた時分針の下で、経てと横のつの軸でトゥールビヨンが立体的に回転する姿で、時計界の人間を驚愕させた。
通常より大きくカーブさせたサファイアガラスによって、垂直方向への回転スペースを確保。こうした外装の高度な加工技術もまた、フランク・ミュラーの独創的な発想から来る超複雑機構を叶える要因の1つ。美しく整えられた外観が、複雑時計をより魅力的に見せる。
参考価格:9580万円
水平・垂直、斜めにも回転。3Dトゥールビヨンの最終形
水平・垂直の回転軸に加え、斜め方向にも回転するトリアクシャル(3軸)・トゥールビヨン搭載モデル。360度、球体状に回るゲージにより、装着した腕がどのように動こうともあらゆる方向に於いて、重力の影響を平均化することが可能になった。
球体回転のためのスペースは、サファイアガラスの大きなカーブやムーブメントの厚みだけでは消化しきれず、ムーブメントの姿を見せる裏ブタのサファイアガラスも、トゥールビヨン部分が半球状に突き出してゲージを納めている。これもまた高度なサファイアガラス加工技術の賜物。
参考価格:1億2075万円
現存する最古の時計ブランドで、今も機械式のみを製作。1989年に世界初のフライング・トゥールビヨンを発表するなど、その高い開発力と技術力は、名門マニュファクチュールの名に恥じない。
レアなウィークリー表示を文字盤外周に装備
ブランド初となる、特殊なウィークリーインジケーター装備のトゥールビヨン。文字盤外周に1~31の日付表示をセットしたポインターデイトはよく見かけるが、これは1~53の周表示を施した希少なモデル。センターに備わる先端の赤い針が、1年かけてゆっくりと文字盤を1週。いま、何年で何週目なのかが分かる仕組みに。
また、このモデルがほかのコンプリケーションウォッチと違うのは、複雑機構を搭載しつつ「100m防水」を確保したこと。もちろんシースルーバックも採用し、実用性に優れたマスターピースに仕上げている。
参考価格:1356万6000円
真の太陽の動きを表示する天文学的ウォッチ
このモデルは、先端を太陽に似せた形状のブルー針を文字盤中央にセット。この“真太陽時”針および通常の分針の2本により、年間を通して±15分程度の“均時差”を割り出す。その違いは、1時位置のインジケーターに正確に表示される。
さらに、3時位置に日付、9時位置に曜日、12時位置に月と閏年をアナログ表示する永久カレンダー機能も搭載。天体をテーマにしたスケールの大きな1本。
参考価格:1587万6000円
トゥールビヨンとは異なる、レアな機構が堪能できる1本
このモデルは、重力の影響で生じる精度の誤差を修正するトゥールビヨンと同じ機構ながら、より複雑なムーブメント構造を持つ“カルーセル”と呼ばれる複雑機構を搭載。これにより実用性に乏しかったオリジナルに対し、トゥールビヨンと同等の安定した制度を手に入れたのである。
60秒で1周するキャリッジは、スモールセコンドとしても活躍。また、6時位置にパワーリザーブ表示、9時位置に半円状のアナログ式日付表示をセット。そして、オープンデザインを採用した文字盤やケース裏のシースルーバックからは、複雑に組み合わさった歯車やギアの動きが見て取れる。唯一無二も機構を味わいつくせるのが、このモデルの醍醐味。
参考価格:1872万1500円
高精度計測を身上とし、創業以来、クロノグラフ開発に意欲的。2010年に自社製クロノグラフCal.1887を、2015年には第2弾Cal.ホイヤー01を発表。
クロノグラフの名門が考案した、計測用トゥールビヨン
リアリティのある価格帯のモデルを多数扱う『タグ・ホイヤー』が、初めて世に送り出したトゥールビヨンモデル。しかし、ただキャリッジがグルグルと回転しているだけでは彼らは満足しない。
特徴は3つ。まずは時刻用と計測用としう2つのトゥールビヨンを搭載しているということ。そしてクロノグラフ作動時のみに回転する計測用トゥールビヨンは、1分間で12回転もするという驚異のスピードを実現した。しかもトゥールビヨンへの駆動力の伝達は、チェーンを使うことでエネルギー効率が向上し、精度低下を抑えることができる。
このような突飛なアイディアを実現できるのは、研究開発を担当するのがギイ・セモン氏という宇宙航空産業出身者だからこそ。時計業界の常識に納まらずに、今までにない時計を作ることができる。
参考価格:2310万円
1/1000秒を計測するための世界初のクロノグラフ
計時にこだわり抜いたハイスピードクロノグラフ。時刻用とは別に、クロノグラフ用脱進機を「毎時360万振動」という驚異的なスピードで動かし、1/1000秒の計測を可能にした。これはもちろん世界初の偉業であり、標準的な機械式クロノグラフの125倍という猛烈なスピード。
それでいて時計のデザイン自体は、タグ・ホイヤーらしいシンプルで視認性を重視したスタイル。ただ12時位置には“1000”と描かれており、特別なクロノグラフであることをアピールしている。
ちなみにジュネーブ・ウォッチ・グランプリにおいて、スポーツウォッチ部門の名誉ある最優秀賞を獲得しており、スポーツウォッチの雄としての地位は更に揺るぎないものとなっている。
参考価格:1260万円
特殊表示や独自コンプリなど、超絶システムを1本に凝縮
「ブランド史上最も複雑なタイムピース」とIWCが断言するコンプリケーションモデル。まず、文字盤9時位置に据えつけられたビッグサイズのトゥールビヨン。そして注目は、12時位置にセットされた“SIDEREAL TIME”という名のインダイヤル。一般の時間基準に用いる平均太陽時とは違う、「恒星日(地球が1周自転するのに要する時間のこと)」を表示するための装備である。
このモデルは、時計の裏側にも機能が充実。裏ブタ外周に2重に設けられた24時間計。これらをトライアングル・ポインターが示すことで、平均太陽時(現在時刻)や恒星日のほか、日の出・日の入り時刻がわかる仕組みに。
さらに裏面の大部分を占めるのは、美しい星座をリアルに再現した星座盤。この星座仕様に限らず、ケース素材や文字盤デザイン、ストラップ素材やカラーなど、外装はすべて自由にオーダーメイドが可能。世界に1本だけの時計を手にすることができる。
参考価格:6570万円
究極の美を追求した魅せるトゥールビヨン
いかにトゥールビヨンを美しく見せることを前提に開発されたモデル。まずは、邪魔な支柱を取り払い、キャリッジが浮かぶように優雅に回転するフライング・トゥールビヨンを採用。そして、キャリッジ上に3本の特徴的な軸を配し、チラネジを備えた黄金色の天輪との組み合わせにより、星を連想させるデザインに。
さらに、通常はキャリッジをコート・ド・ジュネーブ装飾のプレート上に据えるのに対し、このモデルでは内側に鏡面仕上げを施したリングにセット。主要部分である脱進機のパーツを映し出す演出がなされている。
それ以外にも、文字盤6~9時位置にレトログラード式の日付表示、対をなすように3時位置にはパワーリザーブ表示を配置。これらもまた、文字盤上で魅惑的なトゥールビヨンを引き立てている。
参考価格:1033万円
2004年から現会長ジャン・クロード・ビバー氏のもと「The art of fusion」をテーマに、異素材の組み合わせや多層構造の時計を製作。機構や素材の開発でも時計界を牽引する。
時間の流れをもコントロールする、哲学的なコンプリケーション
このモデルは、時間の流れを哲学した時計。実際には一定である時の流れを、3つのスピードで示すことが可能になっており、ポジション1では4倍スロー、ポジション2が標準、ポジション3が4倍速いスピードで時刻を表示する。
例えばポジション1に設定していると、実際には1時間経過していても、時計上には15分しか進んでいないということになる。もちろん正しい時刻を知りたければ、ポジション2にすればよい。時計は正しい時刻を記憶しており、素早く時計の針を戻してくれるので支障はなし。
時計というものは、現在時刻を知るためだけに存在しているのではない。時間の流れを意識し、考え、楽しむというのも、時計が果たす役目なのだ。そう訴えかける「時を哲学する」ための1本。
参考価格:2433万9000円
女性の腕元を可憐に演出する、美しきコンプリケーション
女性たちの間でも機械式時計の認知度が上がっている。そんな所からウブロは、人気の高い「トゥッティフルッティ」をベースにした女性用トゥールビヨンウォッチを作り上げた。
レッドゴールドのケースやダイヤルなどに248個ものダイヤモンドをセッティングし、さらにベゼル部分にはバゲットカットを施したオレンジサファイアを48個並べた。さらにフライングトゥールビヨンが優雅に回転しており、この上なくラグジュアリーな時計に仕上がっている。
ちなみにこのシリーズは、ブルーサファイア仕様・ピンクサファイア仕様など全6色を用意。コンプリケーション時計は男性だけのものではない。それを強く感じさせるモデル。
参考価格:1266万3000円
創業当時から高い技術力を有し、スリーブリッジ トゥールビヨンなど精緻な複雑機構も持つマニュファクチュール。幕末に日本に伝わった初のスイス時計ブランドでもある。
遊び心を極めたスロットマシーン付き時計
スロットマシーンになる腕時計、といってもゲーム付きのデジタル時計ではなく、れっきとした機械式時計。それも重力補整機構であるトゥールビヨンを搭載する受注生産の希少なコンプリケーション。キャリッジは文字盤の6時位置に、同社のトゥールビヨンらしく矢型のブリッジとともに堂々たる姿を見せている。
しかし、この時計においては“スロットマシーンが主要なコンプリケーションなのだ”と言いたくなる。ケース右側面にあるレバーを引けば、12時位置のドラムを回転させる機構がスタートし、自動的に左側のマスから停止していく。ブレーキ機構はゴングを叩くレバー機構と連動しており、ドラムの停止とともに美しいチャイム音を奏でる。
ベルのマークが揃う「ジャックポット」が出る確率は125分の1。その動作は、カジノのスロットマシーンのまさに忠実なミニチュア。
参考価格:6615万円
強いコントラストがまぶしい、簡潔な表と精緻を極めた裏
一見するとコンプリケーションの凄みはストレートに伝わってこない。ブルー針、グラン・フーという焼成技法によるツヤのあるエナメル文字盤は美しいが、9時位置のスライディングレバーに気がつかなければ、3針のみのモデルと間違えてしまいそうだ。
日付が表示されないフェイスは簡潔そのもの。しかし、シースルー仕様の裏ブタ側を見て、その複雑さにうならされる。ブリッジをギリギリまで連動してハンマーがゴングを叩くまでを見て楽しめる。まさにミニッツリピーターの動きを堪能するための時計となっている。
参考価格:2625万円
創業時からマニファクチュール化を推進し、完全自社製造のムーブメントを開発。ダブルフライングトゥールビヨンなど複雑機構やスケルトンも得意。
美観と配色に気配りしたスケルトン・ダイヤル
ダイヤル上に星型を浮かべるように幾何学的にスケルトナイズされたムーブメントは、2つのフライングトゥールビヨンを装備。この2つがディファレンシャル機構によって駆動力を振り分けると同時に、脱進機の精度誤差を平均化する。
ペルラージュ仕上げを施した上に、ロジウムで色付けしたブリッジは、ドジェ・デュブイらしい前衛美を生んだ。さらにリューズの巻き上げ機構や香箱までもダイヤル側に覗かせて、メカニズムの美しさが堪能できる。
参考価格:2583万円
高い防水性能で、海辺も安心な複雑時計
キャリッジ内にテンプと脱進機、4番車がまとまるトゥールビヨンは、輪列全体を見れば実にコンパクトな作りをしている。ロジェ・デュブイは、その特徴を最大限に生かす術を知っている。メゾンが長く得意とするスケルトン加工である。
輪列がコンパクトだからこそ、それらを支えるブリッジも最小限にすることができ、結果としてこんなにも大胆で幾何学的なスケルトナイズが可能に。さらにダイヤル側のブリッジがなくなり、地板側のみで支えられたフライングトゥールビヨンは、その神々しいまでの姿を露わにしている。
そしてベゼルまでもサファイアクリスタルで覆ったこのモデルは、スケルトン・ムーブメントによってさらに透明感を増している。防水性能は10気圧。海辺にも連れていける。
参考価格:1155万円
1969年、一体型クロノグラフ初の自動巻きエル・プリメロを発表。3万6000振動のハイビート・クロノの先駆となった。近年は、シリコン製パーツにも積極的に取り組む。
余白を表すダイヤルをギョーシェが典雅に彩る
サファイアガラスも裏蓋もプックリ球状に膨らんだ中に納めた調速装置は一見、立体トゥールビヨンのようだが実はまったく別物。360度自由に動いて調速装置が水平を保つ独自の「ゼロ Gシステム」である。
扇形のインダイヤルが左右対称に並ぶ様子は、より端正な印象を与える。さらに大きく残るダイヤルの余白を、精緻なグランドルジュ・ギョーシェで彩り、典雅でクラシカルに仕立て上げた。
機構もデザインも近年のゼニスを代表する傑作。ジュネーブ・ウォッチ・メイキング・グランプリ「ベスト・コンプリケーション・ウォッチ」受賞も納得。
参考価格:1995万円
名機エル・プリメロが奏でるカテドラルゴングの音色
ゼニス初のミニッツリピーターは、ブランドのアイデンティティと言える名機エル・プリメロに搭載された。毎時3万6000振動のハイビート一体型クロノグラフとミニッツリピーターと共存させるため、リピート機構の多くをムーブメントのダイヤル側に配置。
2本からなるカテドラルゴングは、専用合金の塊から展延して作成。金属組織が均一となり、より澄んだ音色を響かせる。誤作動を防ぐ伝統的な「オール・オア・ナッシング」機構の採用で信頼性も高い。
参考価格:1414万5000円
パネライ時計店として創業。第一次世界大戦から、イタリア海軍向けの時計界初を始め、1993年には民生用も発表。1997年からリシュモン・グループ傘下となり、市場を広げ、世界的に大ヒット。
パネライのルーツモデルにトゥールビヨンを搭載
ラジオミールとは、1936年にプロトタイプが登場したパネライのオリジナルの流れを汲むシリーズ。元からケース径47mmの大型モデルだったが、この時計はさらに大きい48mmケースを採用している。
そこに搭載されているのは、自社製ムーブメントシリーズの中でも最上級のコンプリケーションCal.P.2005。第2時間帯表示などP.2000シリーズらしい機能はそのまま、重力補整機構のトゥールビヨンも搭載している。
ハイエンド機らしい機能性に加え、パネライの伝統的な造形と先端の時計技術が融合したハイクオリティを堪能しつくせる時計となっている。
参考価格:1140万3000円
トップクラスの内製率を誇るマニュファクチュール。ムーブメント、ケース、ダイヤル、針などほぼすべてを自社製造する。開発力、技術力にすぐれ、また「レベルソ」をはじめデザイン力も秀でる。
クリアで力強い音を響かせ音色自慢のミニッツリピーター
ムーブメントにゴングとハンマーを組み込み、現在時刻をチャイム音によって知らせる機能が「ミニッツリピーター」。数ある複雑機構の中でも、最も複雑な構造をもつといわれている。しかしジャガー・ルクルトでは、洗練された操作性や故障しにくいメカニズムの開発を進めるだけでなく、音質のクオリティにもこだわっている。
2005年に特許を取得したのが、ゴングの基部にサファイアクリスタルを使用すること。これにより、澄んでいながら長く響くリピーター音を実現。耳で楽しむ時計としての価値を、さらに高めることに成功した。
しかもこのモデルは、それらパーツ群の精緻な動きをシースルーダイヤルを通じてつぶさに観察できる。つまり時計愛好家にとっては、デザイン、ムーブメントの両面から楽しめる時計に仕上がっている。
参考価格:2373万円
クレドールといえばグランドセイコーと双璧をなす、国産時計の王者セイコーのトップブランド。また、世界屈指の内製率を誇るマニュファクチュールであり、独創的な技術力が世界的に評価されている。
日本の匠の技が生み出す、コンプリケーションの極致
このモデルの大きな特徴は、セイコー独自の駆動方式で、非常に滑らかな針の動きと高精度を誇る「スプリングドライブ」、そしてコンプリケーションであるミニッツリピーターとの融合。
そこに投入される技術者の技能も半端ではなく、地板・歯車の軸受け・歯車・ネジに至るまで、すべて手作業で磨く。特に軸受けは数種類のヤスリとジャンシャン(乾燥させたリンドウの茎に研磨材を付けたもの)を使い、斜面を歪みのない鏡面に磨き上げる。
日本政府事務次官精励者を称える「黄綬褒章」受賞者を含む「現代の名工」3人も所属するセイコーエプソンのマイクロアーティスト工房。彼らの手による逸品を、日本人ならいつかは手にしてみたい。
参考価格:3500万円
フランスを代表する宝飾店。世界初の本格腕時計である「サントゥ ウォッチ」など名作を世に送り出してきた。スイスに工房を構え、多彩な自社製ムーブメントも開発。
あえて困難に挑むウォッチメゾンのプライド
オープンワークを施したダイヤルを見れば、機構は一目瞭然。フライング トゥールビヨンとミニッツリピーターをダブルで搭載した超複雑機構モデル。特にカルティエ初の「自社製ミニッツリピーター」を搭載しているのが大きな特徴。
カルティエは音色にもこだわり、その証がハンマー上に姿を見せるガバナー。これはハンマーの作動速度を一定に保つ調速装置。通常はバネでつないだ2つのウェイトが回転力に応じて、開閉する遠心ガバナーを用いる。しかしカルティエは、2枚の羽を内包し、リピーターのゼンマイのトルク落ちに応じて徐々に閉じ、空気抵抗を減らすことで一定速度を保つ慣性モーメント式を採った。
調整は難しいものの、遠心式とは違って作動音が生じず、ミニッツリピーターの音色を邪魔しない。澄んだ音色を得るため、あえて困難に挑む。これぞ“ウォッチメゾン”カルティエの矜持。
参考価格:3024万円
重力を味方につけその影響を回避する
ダイヤルの下側の大きな開口部にはブリッジが横たわり、一見すればトゥールビヨン。しかしこれは自動巻きローター。しかも調整装置はこの半円状のローターの上に置かれて、ローターの動きに追随しているという。つまり時計を着けた手の動きで変わる姿勢差を、調整速度がローターと一緒に動くことで補整する、かつてないコンプリケーションなのである。
そしてインデックスは常に揺れ動くローラーに刻まれる。しかしローター位置が変わっても、2枚の遊星歯車によって秒針自体も追随し、ちゃんと秒がわかる仕組み。同時に2つのディファレンシャルギアが、秒針を動かす4番車に連結してローターの動きを相殺し、正確な刻時を可能にしている。
ケースは、ニオブチタン合金製。硬質で軽く、直径50mmでも装着感は抜群なまま。
参考価格:2595万6000円
メゾン初の腕時計は、レディースの「プルミエール」。2000年、セラミックをケースとブレスに用いた「J12」でメンズ市場に本格参入を果たし、素材や機能、デザインで多彩なコレクションを展開する。
リューズの突起を避けて分針が動くレトログラード
シャネルの「J12」は、セラミックを時計の素材として定着させたという点で、時計界に多大な貢献をなしたコレクション。そんな多彩な「J12」の中で最高峰のコンプリケーションがこの時計。
この時計において特筆すべき点はつ。1つはトゥールビヨン。複雑機構の名手であるムーブメント専用メーカー、ルノー・エ・パピと共同開発したムーブメントの完成度は高い。しかもパワーリザーブは約10日間とハイパワーな上、高精度も誇る。
さらにもう1つ注目なのは、分針が極めて特殊な反復運針……すなわちレトログラード運動を行う。これらの独創的な機構に加え、両面シースルー仕様。外装のセラミックのマット仕上げが美しい上に、機構の動作を見ていて飽きない時計となっている。
参考価格:2625万円
華を象ったキャリッジが優雅に回転する
「フライング トゥールビヨン」は、下方の地板だけでキャリッジを支える方式。通常のトゥールビヨンとは異なり、文字盤側にキャリッジを留めるブリッジがなく、キャリッジの回転がハッキリと見えて中空に浮かんでいるように見えることから「フライング(飛んでいる)」と称される。
この時計は、文字盤の窓とキャリッジの文字盤側をカメリアの花びらの形に成型し、さらにキャリッジの回転を演出している。しかしブリッジがない分、キャリッジを支える構造の工夫やキャリッジの軽量化などが必要であり、エレガントさの影で一段と精緻なメカニズムにもなっている。
参考価格:2003万4000円
ニューヨーク五番街に本店を構える世界的な高級宝飾ブランド。1989年に時計市場に参入。ハイコンプリケーションとハイジュエリーで時計界を席巻する。
針状のインデックスが次々と回転し、時分を表示
ハリー・ウィンストンの「オーパス」シリーズといえば、さまざまな時計師との共同で前代未聞のコンプリケーションを毎年実現するシリーズ。中でもこの「オーパス12」は名機と称えられるモデルである。
今回、共同開発に当たったのは、ウォッチクリエイターのエマニュエル・ブーシュ氏とデザイナーのオーギュスタン・ナスバーム氏。特に針の動きは、自転しつつ太陽の回りを巡る惑星の動きにインスパイアされたという独創的な所が評価されている。
時計の動力源であるゼンマイを納めた香箱車のほかに、この時計機構を作動させるためのサブの香箱車も用意され、45時間の稼働時間(パワーリザーブ)を得るとともに、5分表示のレトログラードと同軸のパワーリザーブ表示を配し、実用性も確保する。
参考価格:2947万円
創業者は優れた時計師。1996年には自社ムーブL.U.Cを開発し、マニュファクチュールに返り咲いた。クラシックカーレース「ミッレ ミリア」の名を冠したコレクションも人気。
宇宙の神秘を楽しむための複雑機構を詰め込んだ1本
セレブリティを美しく飾り立てるジュエラーとしても名声を得ているショパールだが、本業は純然たる時計メーカーであり、その歴史は1860年にさかのぼる。このモデルは創業者の頭文字「L.U.C」をとった、創業以来受けついできた時計作りの伝統が色濃く投影されているハイコンプリケーション。
トゥールビヨンや永久カレンダー等、14もの複雑機構を搭載し、時計裏側には天文学的な表示機能が備わっている。特筆すべきは大型のムーンフェイズ。ジュネーブから見える星空を表現した天体ショーを、いつでもどこでも楽しむことができる。
さまざまな複雑機構を搭載する時計はあるものの、ショパールはロマンティックな天文系を極めた。その明確なコンセプトも、時計愛好家から評価される理由になっている。
参考価格:3856万6500円
パリのヴァンドーム広場を代表する高級ジュエラーの1つ。1949年から本格的に時計制作に着手し、独自の感性で詩的な時を様々に表現する。
時をロマンティックに演出するポエティック コンプリケーション
時計業界において大胆なクリエイションに突き進むのが、1906年のパリで創業されたハイジュエラー『ヴァンクリーフ&アーペル』。2007年からポエティック コンプリケーション(詩的複雑機構)と命名した、ロマンティックな時計を作っている。
こちらは、パリのノートルダム寺院の塔の上に立つ青年が主人公。彼がエッフェル塔にいる彼女へと思いを募らせるというストーリーが、エナメル細密画などさまざまな美的技法を駆使してダイヤル上に描かれている。
さらに時刻の表示方法もユニーク。2時の位置のリューズを操作するとミニッツリピーターが作動し、美しい音色と共に青年が登場。そして空に流れる星の場所で分を刻む。恋人同士がお互いに逢いたいと願うロマンティックな時間を巧みに表現している。
参考価格:4431万円
実力派のムーブメントメーカーとしてスタートし、現在のコレクションは高級時計に特化。薄型ムーブメントで数々の世界記録を樹立してきた。
ピアジェの技術力が集結した、世界最薄のトゥールビヨン
ピアジェは「薄型ムーブメント」を極めたスイス屈指の技巧派マニファクチュールであり、数多くの“世界最薄”の称号を手に入れてきた。その彼らが、持てる技術のすべてを集約させたのがこの1本。
特筆すべきは厚みが5.5mmしかないという、世界で最も薄い自動巻きトゥールビヨンムーブメント「キャリパー1270P」を搭載している所。しかもシースルー仕様になっているため、綺麗に肉抜き加工された美しいムーブメントもよく見える。
参考価格:2352万円
イタリアを代表する名門ジュエラーは、2010年に自社製ムーブメントの開発に成功し、時計でも実力を発揮。外装からムーブメントまで自社すべてをまかなえる生産体制も整えたマニュファクチュール。
蓄積した実力が発揮された業界屈指のハイコンプリケーション
ローマの大胆なデザインをスイスの時計技術で具現化するブルガリ。ブルガリグループを形成してからは、積極的に実力派サプライヤーを参加に収め、腕時計の質感を高めることでハイレベルなウォッチメイキングを実現してきた。
モデル名にあるルミエールとはフランス語で「光」を意味しており、光が透過するほど徹底的に位上げたスケルトンムーブが特徴。しかもトゥールビヨンキャリッジは、ほとんど宙に浮いた状態になっているので、不思議な浮遊感を楽しめる。
その美しさは工芸品と呼んでも差し支えないレベルにあり、ブルガリが大切にしているローマの美意識を的確に表現している。ちなみにパワーリザーブ表示を搭載するなど、実用性をも忘れてはいない。
参考価格:1995万円(受注生産)
フランスを代表するラグジュアリーブランドが、2002年に本格的に時計市場に参入。ドラム型ケースの「タンブール」で成功を収める。2014年にはスイス・ジュネーブに広大なファクトリーを新設。
大きく広がったカスタマイズの幅
ユーザーがカスタマイズをオーダー可能な振るスケルトンのトゥールビヨン。ケース、ムーブメントの1部のパーツ、ストラップの素材、エングレービングなどをオーダーできる。2013年からカスタマイズの範囲が広がった。
参考価格:2100万円~
華やかなファッション界をリードしてきたハイブランド。2001年に本格的な時計製作に着手。同社ならではの優雅な造形や斬新な発想が活かされたコレクションを展開。
ディティールに美を宿らせる、ディオールの確かな創造力
「ディオール クリスタルコレクション」に加わった、メゾン初のコンプリケーション。セッティングする宝石によるバリエーションの違いはあるものの、ムーブメントはどれも共通で、制作はスイスのラ・ショード・フォンを拠点とするコンセプト・ウォッチ・ファクトリーとの共同であたっている。
トゥールビヨンを起点としダイヤルの中央に配されたリングは、実はブリッジ。トゥールビヨンのケージを強固に支える機能を、美しいデザインへと巧みに昇華させるアイディアと技術が素晴らしい。リング内側の透明なサファイアクリスタルは、ダイヤルでありながらムーブメントの地板を兼ねている。
そしてスポーティな印象を与えるベゼルには、ブラック・セラミックをあしらっている。ポリッシュ仕上げのセラミックパーツは、12時位置を起点に大きさを自在に変えながら、視覚的変化で豊かな表情を生む。グランメゾンだからこその豊かな独創性が、ムーブメントや外装の繊細なディティールに確かに表現されている。
参考価格:3318万円
メンズファッションブランドナビ編集部
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