「ワーカー・バイカー・洒落者」まで、あらゆる男に愛される大御所!
100年ものあいだハードワーカー達の足元を守り続け、今や「キング・オブ・ワークブーツ」と称されるアメリカ発生まれのブーツブランド『ウエスコ』。
今回はそんなウエスコの歴史・人気ランキング・カスタムの特徴・メンテ方法など、魅力を解説しています!
【1】ウエスコとは
【2】ウエスコの歴史
■1位:ジョブマスター
■2位:ボス
■3位:ハーネス
■4位:パッカー
■5位:モリソン
■6位:ハイライナー
■7位:ロバート ウィリアム
■8位:ジョンヘンリー クラシックス
■9位:ロメオ
■10位:ティンバー
■11位:モーターサイクル パトロール
■12位:ファイアーストーマー
【4】ウエスコの限定モデル
1918年にジョン・ヘンリー・シューメイカー(写真左)がオレゴン州で創業した、アメリカンワークブーツの中心的ブランド。ワードワーカー達の足元を守る味方として、耐久性・ディティールに強いこだわりを持って作られたウエスコのワークブーツは、世界中の人々に愛され続けている。
※雑誌「バイク乗りが選んだ一足」より。
毎年上越で開催されているバイカー達のパーティー「RUMBLING WHEELERS PARTY」では、実に2人に1人がウエスコのブーツを愛用。特に人気モデル「BOSS」や「JUBMASTER」の愛用率高し。
※雑誌「THE BOOTS MASTER」より
建設業、バイク屋、アメカジショップ、美容室などなど、職業を問わず働く男達に愛されるのもウエスコならでは。ガンガン履きこんでも安心できる頑丈さ、そして経年変化が進むのも嬉しい特典。
実は「ファッションから入った」という人も少なくないウエスコのブーツ。その無骨さはアメカジやワークスタイルと相性抜群! 質の高い革だけがもつ重厚感と高級感が、いつものコーディネートに深みを与えてくれる。
※この建物は現在もウエスコ本社の敷地内に建つファクトリー。創業当時から今も変わることのない伝説の「ステッチダウン製法」で作られたブーツは、ここからハードワーカーたちの足元へと送り出されていました。
たまたま始めたブーツ作りで才能が開花
ウエスコといえば、今では最高峰のカスタムブーツとして、リアルで屈強なワーカー達からファッションに関わる者まで幅広く愛用される「キング・オブ・ワークブーツ」という存在。創業者は「ジョン・ヘンリー・シューメイカー」。その名の通り、ブーツを作るために生まれてきたのかと思いきや、実は当初はブーツ職人などに全く興味がなかった。
彼がブーツ作りを学んだのは。16歳のとき。当時やっていた新聞配達の仕事が嫌になり、ミシガン州グランド・ラピッズにあった「Rindgen Kalimbach Logie & Co.」で働くことにしたのがきっかけだった。そこでブーツ作りのノウハウを習得したジョンは、1903年に新たなチャンスを求めて西部のシアトル向かった。
シューメーカーで修行後、独立し「ウエスコ」を設立
しかし、ポートランドに到着した頃、彼の所持金は底をついてしまったが、幸運だったのは、ポートランドのシューズメーカー「Bradley Shoe Company」がブーツの作れる人間を探していたことだった。そこで5年間働いた後、「Goodyear Shoe Company」へと渡り、1918年、遂に彼は家族7人で「West Coast Shoe Company」として独立することとなる。ミシガンを出て5年、ポートランドでWESCOが誕生した。
シューズのメーカーが連なるように存在するオレゴン州において、ウエスコはロガーブーツで業績を伸ばしていった。ミシガン州と同様、山に囲まれたポートランドでも、やはりロガーブーツが主力商品となった。そして1929年までに4回も移転するほど大きく成長していったが、同年2月に起きた世界恐慌によってアメリカ経済は崩壊。ウエスコも事業閉鎖に追い込まれてしまう。
世界恐慌を経て、小さな自宅で再開したブーツ作り
世界恐慌によって事業も閉鎖に追い込まれ、ブーツ作りの技術以外の全てを失ったジョンだったが、ポートランド郊外の自宅に作った小さな工房でブーツ作りを再開。職人を雇えないことで、良い日でも8足しか製作できなかったが、それをロガー達に売り歩きながら業績を少しずつ上げて、1930年代後半には2400平方フィートの2階建てファクトリーを作るまでに成長した。
さらに第二次世界大戦の影響で、造船業者から「エンジニアブーツ」の注文が殺到。アメリカ国内の経済も回復に向かい、それに伴ってウエスコも業績を伸ばした。それも「タフなブーツを作る」という企業姿勢があったからこそ。「キング・オブ・ワークブーツ」の精神は、当時から今日まで途切れることなく受け継がれているのである。
こちらは1940年代~50年代頃のカタログ。主力商品がロガーブーツであることは、表紙からもうかがえます。ラインアップもロガーブーツが圧倒的に多かった。
当時からウエスコには、オーダーした人物からたくさんの手紙が届けられた。その手紙には、ウエスコのブーツに対する感謝の気持ちが綴られている。ウエスコのブーツがいかに素晴らしいものであるかの証明。
(1) ウエスコ工場の前を通る道には「靴工場通り」の名が付けられている
(2) 巧みな技が要求されるアウトステッチの様子
(3) 屈強な男による吊り込みの作業
(4) ヒールを取り付けている様子
(5) アッパーの縫製作業は女性が行っている
(6) 完成したブーツをチェックする作業員。厳しい品質管理を受けたブーツが、世界中の人々に送り届けられる
英語表記:JOBMASTER
20代 30代 40代 50代
■発売:1938年
■価格:8万8800円~
英語表記:BOSS
20代 30代 40代 50代
■発売:1939年
■価格:9万4800円~
英語表記:HARNESS
20代 30代 40代 50代
■発売:1960年頃
■価格:9万4800円~
英語表記:PACKER
20代 30代 40代 50代
■発売:1991年
■価格:9万2800円~
英語表記:MORRISON
20代 30代 40代 50代
■発売:不明
■価格:9万7800円~
英語表記:HIGHLINER
20代 30代 40代 50代
■発売:1938年
■価格:8万8800円~
英語表記:ROBERT WILLIAM
20代 30代 40代 50代
■発売:2015年
■価格:7万8800円
英語表記:JH CLASSICS
20代 30代 40代 50代
■発売:2002年
■価格:7万7800円
英語表記:ROMEO
20代 30代 40代 50代
■発売:1976年
■価格:6万1800円
英語表記:TIMBER
20代 30代 40代 50代
■発売:1918年
■価格:9万2190円~
20代 30代 40代 50代
■発売:不明
■価格:11万6340円~
英語表記:FIRE STORMER
20代 30代 40代 50代
■発売:2003年
■価格:9万6390円~
一部はプレミアム価格にもなっている、ウエスコの限定モデルを紹介。
英語表記:FLIGHT MASTER
価格:14万8000円
ウエスコとしては初となる、1頭の馬の尻部分から少量しか手に入らない希少な「コードバン」をクォーター部分に採用し、ナローエンジニアのラスト(木型)で作られた日本限定モデル。同モデルは1930~1940年代ごろの米国サービスシューズがモチーフ。その佇まいは実にエレガント。
英語表記:CYCLE BOSS
価格:11万8000円
カウンターとシャフト部分にホースハイドを使用した、日本限定モデル。トゥやヴァンプに使用された防水レザーによって、バイクのライディングに適した仕様。
英語表記:WESCO×Langlitz Leathers
価格:21万5000円
ウエスコと同郷である、世界的レザージャケットブランドの老舗「ラングリッツレザーズ」とのコラボレーションブーツ。ヘビーデューティーな日本限定モデル。
英語表記:NARROW WESCO ENGINEER BOOTS
価格:19万8000円
1930~50年代に作られていたエンジニアをもとに、木型から製作。防火防水レザーという最新技術を駆使した素材を起用し、さらなるアップデートを図ったモデル。
英語表記:CHAMPION BOSS
価格:約20万円
カウンター、シャフト、ストラップ部分にホースハイドを使用した、ウエスコで初の試みとなった記念すべきモデル。透明感のあるツヤが深い奥行きを感じさせ、馬革ならではの経年変化が迫力。
英語表記:CENTURY BOSS
価格:23万円
1960年代のヴィンテージラストを用い、レザーには最高級の馬革をチョイスしたWESCO創業100周年記念モデル。ピット層にじっくりと漬け込んでなめした本ヌメ革のため強度と風合いに優れ、エイジングも表れやすい。約半年の着用で全体に上品なツヤと力強いシワが表れます。
英語表記:WESCO×LYNCH SYLVER SMITH 3RD MODEL
価格:23万8000円
繊細かつ無骨なシルバーワークで世界中から支持を得ている、神戸に工房を構える「リンチシルバースミス」。ウエスコジャパンとの親交も深く、これまで2度のコラボモデルをリリースしてきた。そして2018年にウエスコが100周年を迎える記念として発売された、第3弾となるスペシャルモデル。
定番「BOSS」をベースに、インディアンモチーフのシルバーバックルを装着し、リンチシルバースミスらしいセンスによりアレンジを加えた逸品。
価格:11万9800円
ウエスコが1930年代にラインナップしていた幻のモデル「8106」をデザインソースに、ブランド100周年を記念して製作した初の限定モデル。クラシカルな5アイレットやオリジナルソールなどが配された。
※代表モデル「ボス」「ジョブマスター」のカスタム例
自分だけの1足は愛着もひとしお!
ウエスコは使用する人に合わせた「カスタムオーダー」が可能で、革の種類や色、ソールなどが自分流にカスタムできます。ここではそのパーツを紹介しています。
ブーツの安全性と使い込むほどに足に馴染む特性を追求し、厳選されたカウハイドのオイルドレザーを使用。カラーバリエーションは現在10色を揃え、それぞれでラフアウト仕様(革の裏を起毛させたもの)を選ぶこともできるため、合計バリエーションは20種類。
ライニングはレザーカラーを選ぶことができ「ブラック、レッド、プラチナ、バックスキン、タバコ、ブラウン」の6色。外側にチラリと見えるさりげないパーツにもこれだけの種類を揃えているので、相当なこだわりを持った人も満足できるはず。
太い「ヘビーウェイトステッチ」はアウトソール、及びレースアップブーツのアッパーに、細い「ライトウェイトステッチ」はアッパーに使用される。カラーバリエーションはそれぞれ9色、6色を用意しており、この中には日本だけの限定カラーも含まれます。
レーシングパターンには3つのバリエーションを用意。紐の締め上げる位置が最もつま先に近い「レース・トゥ・トゥ(右)」、反対に最も遠いのが「レギュラー・トゥ(左)」、その中間は「セミ・レース・トゥ・トゥ(中)」。
上左の写真は、トゥの防水性と強度を向上させる「トゥ・キャップ」。その右はトゥの中に入れる「セイフティ・トゥ」。金属製のスチール、樹脂製で電気を通さないコンポジットの2種類を用意。レーシングパターンとで様々な組み合わせが可能。
トゥパターンは5種類から選ぶことができます(写真上)。トゥパターン、レーシングパターン、トゥキャップ、セイフティ・トゥの組み合わせで、ブーツの顔の印象も大きく変化します。
シューレースを通すアイレットとフックには「ニッケル、ブラス、ブラック」の3色が用意され、取り付け位置も指定することができます。ブーツとシューレースを摩擦から守る重要なパーツです。
ミッドソールとヒールの積み上げ部分に使われるレザーは「ブラック、ブラウン、ナチュラル」の3色から選ぶことが可能。また、ヒールに関しては、積み上げの厚さを変えて高さを変更することができます。
通常はシングル(1枚)のミッドソールを2枚にする、ダブルミッドソールも選択可能。こちらも見た目と履き心地を大きく変える要素です。
ウエスコの代表モデル「ボス」のトップストラップは0本~3本に変更可能。ストラップの長さも最大3インチまで伸ばすことができます。
プルオンブーツに使用されているバックルは7種類から選択可能。金属のカラーひとつとっても、ブーツの印象を大きく変えます。
ウエスコでは、グリップ力・耐久性・クッション性などさまざまな機能性を考慮し、全てのブーツにビブラムUSAのソールを採用。耐火性や耐油性があるものなど、全てのソールにはそれぞれ異なる特性があり、使用するシチュエーションや自分のニーズに合わせてチョイス可能です。
レースはナイロン製がタンナイロン、ブラックナイロン。革製がブラウンレザー、ブラックレザー、ホワイトレザーの計5種類を用意。
ガゼットへのストレスや、泥の浸入などを防ぐフォルスタン。アッパーと同カラーが標準で付属し、ハイトにより長さが2種類あります。
既製でもサイズはUS2~16、ウィズはAAA~EEEの9種類と幅広く設定されていますが、カスタムフィットオーダーを利用すれば、十数ヶ所の採寸による自分専用の木型が作られ、本社工場に保管される。
ここでは家庭でもできるブーツのお手入れ方法を紹介。ブーツそのものの魅力を損なうことなくナチュラルなまま綺麗にするベーシックな手法なので、ボスなど他のモデルでも活かすことができます。
■メンテグッズもウエスコ
家庭でもできる作業ということで、基本的に家にあるものをメインで使用。ただしレザーオイルなどの専用グッズは基本的に「ウエスコのオリジナル」を使用。もちろんウエスコのブーツと相性抜群です!
メンテナンスに入る前に、まずは紐とフォルスタン、インソールを外します。ちなみにインソールは定期的に取り出して乾燥させるのが、ブーツを長持ちさせるコツです。
泥やしつこい汚れなどは、水に漬けた後、硬く絞ったタオル(ゾウキンでも可)で、ブーツ全体を拭く。ブラッシングでホコリを落とすのも効果的です。
タオルで拭きにくいコバ部分の汚れには使い古した歯ブラシが効果的。これでゴシゴシ磨いていけば、ステッチの隙間に詰まった汚れをかき出すことができます。
ウエスコのオリジナルケア用品「Beeオイル」をスポンジに少量付けて伸ばしていく。これは革の栄養分が馴染みやすくするための下地のようなものです。
続いて保湿効果のある「Beeシールプラス」を指に直接付けて塗りこんでいきます。半固形のオイルなので、手の温度で溶かしながら染み込ませていくのがコツです。
左は施工前で、右がメンテを施してオイルを染み込ませたトゥ部分。汚れが落とされ保湿も施された革の表面は、しっとりとした雰囲気に。
インナーソールはブーツの心臓部分のようなもので、ブーツ自体の耐久性を左右します。それをカバーするインソールは定期的に新しい物に代えるのがベターです。
せっかくのメンテナンスということで今回は新しい革紐を装着。これだけでも随分と違う表情になります。ブーツ本来の魅力を損なわず楽しめるカスタムです。
■真鍮ブラシ
ウエスコ特有のスエード地である目が詰まったラフアウトには、目の細かい真鍮ブラシが最適。これで起毛の隙間の汚れを掻き出し毛の流れを整える。
■防水スプレー
スエード用防水スプレー。無色透明なため革の色が変化しないのがポイント。
まずはラフアウトの汚れを金ブラシでかき出す作業から。なるべく小刻みにブラッシングして奥に詰まった細かい汚れを取り除きます。
続いてブートブラックのスエード用防水スプレーを使用。全体的にまんべんなく吹き付けるのがコツ。これだけで雨の日も気にしないで履けるようになります。
撥水加工が施された表面は水をかけても水滴になって落ちるほど。スプレー1本でこの威力は凄い。
メンズファッションブランドナビ編集部
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