簡単な毎日ケア~長持ちする本格ケア、さらに雨ジミの対処など満載!
革靴や紳士靴(ビジネスシューズ)を長持ちさせるなら、定期的なお手入れは絶対に必要なもの。
今回は、お手入れ方法・対処法・靴修理の相場など、役立つ情報を全部紹介しています!
※とてもボリュームのある内容なので、下記もくじをご利用下さい。
【1】お手入れのペース
【2】基本のお手入れ道具
【3】日常的なお手入れ
【4】定期的なお手入れ
■エナメル
■雨ジミ
■ニオイ
■カビ
■こすり傷
■ワックスを使うときのポイントは? 他…
■箱での保管方法 他…
【9】靴の履き方など〈豆知識〉
定期的なケアは1ヵ月、本格的なケアは半年に1度は行いましょう
まず簡単にできる日常的ケアは帰宅後に。そして潤いと栄養するケアは定期的に行います。お手入れすれば、もちろん靴も長持ちします。
クリーナー、クリーム、ワックス、ブラシは最低限必要です。
革は人間のお肌と同じく「汚れ落とし」と「潤いの補給」が大切です。革の大敵は乾燥なので、表面にこびりついた古いクリームを落とし、乳化性のクリームを使って潤いを与えます。
また、形を整えるシューキーパーと、下記にあるアイテムを揃えておけば、普段のお手入れには十分です。
②ブラシ:硬めの毛の方が汚れ落としやクリームを広げる時に使いやすい。
③クリーナー:チューブ入りもありますが、液体の方が布に染み込ませて使うには便利。
④靴クリーム:水分と油分を含んだ乳化性のクリームで、革に潤いと栄養を与えます。
⑤ワックス:革のツヤ出しに使う缶入りのもの。ロウの成分が多い。
⑥クロス:必ずしも靴専用ではなく、着古したTシャツなど毛羽立たない布でOK。
⑦防水スプレー:フッ素系のもので、布用ではなく、靴や革に対応している物を選んで下さい。
シューキーパー:脱いだ後、靴の形をキープします。
消臭スプレー:ニオイ対策。ひと吹きだけでも思った以上に効果的。
やっておいて損はない日々のメンテナンスをシーン別に紹介。
どれも簡単なので、初心者や面倒くさがりな人でも安心です。
外部からのホコリなどは気付かないうちに溜まっていくもの。馬毛ブラシで軽くブラッシングしてあげるだけでも後の結果は全然違ってきます。
また、1日中歩き回ってかいた汗は臭いにも直結するため、消臭剤のひと吹きも思っている以上に効果的です。
・ブラシ
・消臭スプレー(あった方が便利)
・シューキーパー(あった方が便利)
1.全体をブラッシング。
コバなどホコリが溜まりやすい部分は入念に。シューツリーを使えば、履きジワが伸びてさらに奥のホコリまでかき出せます。
2.消臭スプレーを吹きかける。
目には見えず、自分でも気付かないことが多い“臭い”。インソールに向かってスプレーを3吹きしておけば、次に履くときも快調です。
3.シューツリーを入れて保管。
革は生き物で、収納場所の湿気などによって革靴も徐々に変形していきます。保管する際は、やはりシューキーパーを入れて形を維持するのがベストです。
言わずもがな、水は革の大敵。とはいえ、予想だにしない天候の変化で雨に濡れてしまうケースもあります。
その際はまず水滴を拭き取りながら十分に乾かします。ある程度乾いたら、乾燥剤を入れて、デリケートクリームを塗るなどの対処でケアが可能です。
・デリケート革用クリーム
・乾燥剤(あった方が便利)
1.水滴を拭き取る。
表面についた水滴は、そのままにしておくと徐々に革へと浸透してしまい色ムラの原因になってしまいます。まずは乾いた布でしっかり拭き取ります。
2.乾燥剤で湿気を除去。
外側以上に靴内は湿気が充満しています。早く乾かし、さらに湿気のダメージを極力抑える意味でも、靴内へ乾燥剤を入れておくのがベスト。
3.デリケートクリームを塗る。
乾いた後は、水分の浸透度によって革表面に畝(うね)ができてしまう場合が。その際は、デリケートクリームを塗ればそれらを抑えられます。
※もし雨ジミになってしまった場合は メンテナンスQ&Aにある雨ジミ対処法へ。
新品を手にすれば、誰もがすぐに履きたいと思うもの。ただ、長くきれいに履くために、ここは はやる気持ちを抑えほんのひと手間を加えましょう。
例えば、購入時の革靴は質感も硬いまま。そこでオイルを塗布するだけでも、履き馴染みなどが変わってきます。
・保湿オイル
・防水スプレー(あった方が便利)
・ソール用クリーム(あった方が便利)
1.オイルを全体に塗る。
指に巻いた布にオイルをなじませ、靴全体へ塗っていきます。ゴシゴシ塗り込んでいくというよりは、表面を優しく撫でるイメージで。
2.防水スプレーを吹きかける。
風通しの良い屋外で防水スプレーを全体ヘプッシュ。スプレーロをやや離してかけた方が全体へ行き渡り、色ムラなどの心配も解消できます。
3.ソール裏にもクリームを塗る。
革底のシューズであれば、当然ソール裏にも専用クリームを塗っておきましょう。その柔軟性により、その後のソールにかかるダメージも軽減できます。
乾燥してひび割れる前にクリームで潤いと栄養を補給する、日常的なケアからもう一段階上げた、定期的なケア方法。
早くて1ヵ月、できれば3ヵ月に1度くらいはやっておきたいお手入れです。
・靴磨き用ブラシ2本
・クロス2枚(柔らかいコットン製の布でもOK)
・靴クリーム
1.ブラシでホコリをとる
ブラシの毛は豚か馬であれば何でもOK。飾りの隙間もブラシならラクラクとれます。
2.靴クリームで磨き上げる
Tシャツのような伸びる綿素材が理想。乳化性の靴クリームなら何でも大丈夫ですが、初心者は無色がオススメです。
3.ブラシで均等に塗り込む
1とは別のブラシを使って、コバ(トゥ部分にせり出しているエッジ)、飾り部分にもクリームを塗りこみます。
4.から拭きをする
2とは別の布で丁寧にから拭きしたら完了です。
革靴を長く履き続けるための本格的なケア方法を、革の種類別に紹介。
ワンシーズン or 半年、最低でも1年に1回はやっておきましょう。
▼小目次
■カーフ(牛革)
■コードバン
■スエード
■オイルドレザー
■生後6ヵ月以内の子牛の革を指す。高級皮革で知られ、しなやかな手触りと発色の良さがウリ。その魅力を丁寧なケアでより発揮させる。
1.シューキーパー
2.馬毛ブラシ
3.ポリッシュクロス
4.液体クリーナー
5.シュークリーム
6.塗布用ブラシ
7.豚毛ブラシ
8.グローブ型クロス(普通のクロスでもOK)
9.補色クレヨン
10.レザーソール用コンディショナー
11.防水スプレー
1.ブラッシングを行いホコリを払う。
シューレースを取り、シューキーパーを入れた状態でシワ部分を伸ばす。その後、馬毛ブラシで一方向に向かって払う。
2.液体クリーナーを使い、古いクリーナーを落とす。
汚れやホコリに加えて気をつけたいのが、古くなった靴クリーム。革の毛穴を綺麗にするため液体クリーナーで取り除きます。
3.革をすっぴん状態にしたら、クリームを塗り栄養を補う。
クリームを塗り栄養補給。その際、日頃から革の収縮が少ない「カカト → つま先 → 全体」の順番で量を調整しながら行えば均一に塗れます。
4.布では届きにくいコバ部分は塗布用ブラシで。
布では塗りづらいコバや穴飾りなどは、布用ブラシの毛先に少量とって塗ると効果的。歯ブラシでも代用可能です。
5.全体へ馴染ませながら、豚毛ブラシで磨き上げる。
ブラッシングでクリームをまんべんなく浸透させる。その際、硬めの豚毛ブラシを使用。方向を気にせず適度に力を入れながら、がコツです。
6.から拭きをして余分なクリームを落とす
ブラッシングであらかた馴染ませたら、専用クロスを使い余分なクリームを拭き取ります。丁寧に磨けば靴も自然と輝いてきます。
7.ソールの毛羽立ちを抑え、色ハゲをクレヨンで補色
ソール外へ跳ね出した毛羽立ちを高番手紙やすりで削る。その後、色がはげてきた部分へ補色クレヨンで色づけ。
8.革底にクリームをプラスして栄養を補給する
アッパー同様、靴底にもコンディショナーを塗布して栄養を補ってあげる。それだけでも、ソールの張り替え回数に違いがでます。※革底でない場合は不要です。
■美しすぎる光沢を放つことから、革のダイヤモンドと形容されるコードバン。その希少性から年々価格も高騰。故に、美しく長持ちさせるためのケアは必須です。
1.シューキーパー
2.馬毛ブラシ
3.ポリッシュクロス
4.液体クリーナー
5.補色クレヨン
6.コードバン用クリーム
7.豚毛ブラシ
8.グローブ型クロス(普通のクロスでもOK)
9.油性クリーム
10.ポリッシュウォーター
1.固形の汚れやホコリをブラッシング。
シューツリーを入れ、馬毛ブラシでブラッシング。コバ周りはブラシの角を使って一方向に追い出すように。
2.古いシュークリームを拭き取る。
クロスに液体クリーナーを少量とり、シミにならないよう素早くのばしていく。革を痛めるので、決してこすらないように注意します。
3.履きジワの毛羽立ちをピンポイントでケア。
補色クレヨンを、アッパーの履きジワやヒールなど、大きな傷みがある部分に直接塗りこむのがポイントです。
4.コードバン用のクリームで保革。
油分の多いコードバン用クリームを全体に薄く塗布。何回かに分けて“表面がくもるくらい”が目安です。
5.豚毛ブラシで余分な油分をブラッシング。
表に残った余分なクリームを豚毛ブラシで取り除きます。毛先だけを使って優しくブラッシングするように。
6.クロスで拭いて仕上げる。
グローブ型クロス(普通のクロスでも代用可)で、全体の余分なクリームを最終的に拭き取ります。ここまでの工程でも、一般的なケアとしては十分です。
7.油性クリームで艶と防水性を高める。
より艶を出したい場合は、保革と保水効果もあるアルガンオイル配合の油性クリームを表面がくもる程度に塗布。
8.水をのばして仕上げる。
水またはポリッシュウォーターを米粒大ずつ指で置き、のばしていきます。表面がベトつかないまで繰り返すと自然と光沢が出ます。
■ナイーブなイメージのあるスウェードですが、じつは水に強さを発揮する丈夫な革。ただ、汚れがつきやすく、褪色する要素もあるので注意が必要です。
・デリケート革用クリーム
・乾燥剤(あった方が便利)
1.ブラッシングによってホコリを払う。
馬毛ブラシでブラッシング。シューレース部分など毛が寝てしまいがちなところはワイヤーブラシで。他の汚れは紙ヤスリでフォローします。
2.栄養剤をスプレーして元気な姿を取り戻す。
一定の距離をとりながら、栄養剤が全体へ行きわたるように吹きかけます。スプレー口が近過ぎると一箇所に集中してしまい色ムラの原因になるので注意。
3.栄養剤の浸透をブラシで手助け。
固めの豚毛ブラシで毛羽を立たせるようなイメージで。それによTって、栄養分を靴全体に行き渡らせつつ、奥まで浸透させられます。
4.補色スプレーを吹きかけ褪色の対処を。
スウェードは色褪せ感がアジよりも貧相さにつながってしまう素材。それを防ぐべく補色スプレーを使い、色味を上げながら色調の維持も狙います。
5.クレープソールの汚れを丹念に拭き取る。
ソール脇の汚れは普段からでもよく目につく箇所。それはクレープソールも同様です。クリーナーでこまめに拭いてあげるだけで見た目も段違いに。
6.防水スプレーでさらなる強化を図る。
意外にもスウェードは水に強いんです。ただ、ダメージが与えられていることに変わりはないため、防水スプレーなどで事前の防御策を講じておくのがベター。
■防水の意味も込めてオイルを染み込ませたレザー。とはいえ、使っていくうちにオイルは抜け、革の栄養も失われていくのでケアは必要です。
1.馬毛ブラシ
2.レザークリーナー
3.保革オイル
4.専用クロス(普通のクロスでもOK)
1.ハネ裏まで広げ細かくブラッシング。
全体はもちろんコバ部分やハネ裏など、細かい部分も馬毛ブラシの端を使いながら丁寧に。靴内に逆手を入れ、シワ部分は伸ばしながら払います。
2.水拭きで古いオイルを取り革を程よく湿らせる。
しっかりと水を絞った布巾で、以前のメンテナンスで使用したオイルなどを落とします。同時に革を湿らせ、オイルが浸透しやすい状況を作っておきます。
3.全体を乾かした後、保革オイルを塗る。
オイルを塗って栄養補給。最初は、オイルを小豆大ほど取り、ダメージの少ないヒール部分から始めれば偏りなく全体に塗ることができます。
4.履きジワへ塗る際にはいきなり塗布せず徐々に。
履きジワ部分は、オイルが深部まで浸透しやすいため色ムラができやすい。ですので、クリームを直に入れず、染み込んだコットンで徐々に補充するのがコツです。
5.全体を乾かしたら最後にオイルを拭き取る。
塗布後は、日陰の風通しのいい場所で、オイルのテカリがなくなるぐらいを目処に半日は乾燥させます。その後、乾いた布で拭き取って完了です。
1.水拭きのあと、から拭きするだけ
エナメルだけは特別で、最もケアが簡単。革の上から樹脂塗装をしているため、栄養分の補給はいりません。
ですからクリームやワックスを塗る必要はなく、しかも染みることもないので、たっぷり水を使いながら全体を拭き取ればOK。ただし、そのままだと水跡がでるので、仕上げとして から拭きをします。
■極上の輝きを放つ「鏡面磨き」は、靴磨きを嗜む者にとってのステイタス。そのポイントやコツを解説しています。
1.ポリッシュウォーター(ツヤ出し効果を高める専用水)
2.ハイシャインコート(ハイシャイン効果のある専用クリーム)
3.ハイシャインベース(鏡面磨きの下地を作るベース)
1.ベースとなるワックスを塗る。
基本的なケアを終えたら専用ベースワックスを塗布。力加減は革の毛穴にすり込む感覚で適度に。表面がくもるくらいが目安です。塗り5~10分ほど寝かせると効果が増します。
2.水を差し、余分なワックスをとる。
水またはポリッシュウォーターを指で米粒大のせ、クロスで撫でるようにのばす。これを4~5回程度繰り返します。ポリッシュウオーターの場合はクロスに湿らせ磨きます。
3.艶出し用のクリームを塗る。
次に専用コートクリームを塗布。立体感や陰影をつけると、より光沢が増して見えるため、やや多めにクリームを塗りこみます。こちらも目安はくもるくらい。
4.仕上げの水磨き。
最後はとにかく光るまで、水またはポリッシュウォーターで磨き込む。触ってベトついたり指紋が残るなら、まだ光る余地があるというサインなので行程3、4を繰り返します
少しずつ履いて足に慣れさせましょう
買ったばかりのシューズは革が固くなっており、ウォーミングアップが必要です。1回3時間を目安に、体温と足の動きで少しずつ革をほぐして、足の形に慣れさせていくのがコツです。
買ってすぐ防水スプレーは乾燥の元。基本的なメンテで革に潤いを与えてから使いましょう
買ってきたばかりの靴は、売り場で革が乾燥し、栄養失調の状態です。この状態で防水スプレーをすると、潤いや栄養が届かず、さらに乾燥してしまいます。革の大敵は乾燥なので、まずは乳化性の靴クリームで革に潤いと栄養を与えましょう。
まずは表面についたホコリやゴミをブラシで落としてやる。歯みがきと同じく力を入れすぎず、毛先の弾力を生かして柔らかく動かす。
出荷から時間が経過し、表面の仕上げ剤が古くなっている場合があるので、念のためクリーナーで汚れを落とす。
乳化性の靴クリームは量が多すぎても意味がないので、小ブラシに少量とってポイントごとに軽くつけていくだけでOK。
毛先の弾力を使い、大きくブラシを動かして全体にクリームを広げる。甲と底の境目の隙間にも行きわたらせます。
乾いた布で、革に吸収されなかった余分なクリームを拭き取る。全部拭き取ってしまうくらいでちょうどいいです。
ワックスを少量布に取り、つま先とかかとの光らせたいポイントに軽く置いていく。厚塗りはひび割れのもととなるので注意。
少量の水を使ってワックスを柔らかくしてなじませ、革の表面に定着させる。さらに滑らかになるようのばしていく。
換気のよいところで防水スプレーを靴から20~30cm離して、全体的にスプレーする。表面が乾くまで陰干しします。
全体を平均的に濡らして乾かせばキレイに
雨ジミは、革の一部だけが濡れてしまったため、濡れた部分から出た汚れなどの成分が、濡れなかった部分との境目に取り残されるように集まってできたものです。
汚れの成分はクリーナーを使って落とせば輪郭がぼやけて消えます。残りのシミの部分は、靴全体を濡らすことでトーンが平均化されて馴染んでしまい、また元の状態に戻せます。
シミが軽い状態ならクリーナーをつけた布で叩くようにして汚れを布の方に移す
きれいな水と布を用意し、布全体を水に濡らして、下に水滴が落ちない程度を目安に軽く絞っておく
雨ジミのできている周辺から水拭きしていく。再び濡れた状態に戻ったことで、シミの部分が周りと徐々になじんでいく
次に靴全体をまんべんなく濡らすように水拭きを進めていく。目安は革の色がムラなくトーンが揃うようになるまで
狭くて届きにくいつま先の部分まで拭き取れるようにするため、割りばしなど棒を用意し、濡れた布を巻きつける
表側と同じように、内側も隅々まで水拭きして全体が同じような色合いになるまで濡らす
この後自然乾燥させたら、新品の靴のケア「③クリームを塗る」以降のケアを行います。
「水溶性の汚れ」は雨ジミと同じお手入れを!
水溶性の汚れは水を与えると溶けるので、水拭きが効果的です。布のシミ取りと同じように、軽く叩くようにして、布の方に汚れを移すようにしましょう。※油を含んだシミはメンテナンスのプロへ。
除菌スプレー+水拭きで消臭できます
ニオイは汗などを細菌が分解することで発生します。まずアルコール系の除菌スプレーで菌を取り除き、次に汚れを水拭きで落とし、最後に予防の除菌スプレーを再度します。
靴の内側に向けて、全体的に湿る程度までスプレーする。
菌が繁殖するもととなる汚れを水拭きで落とし、乾いたら再度除菌する。
乾いた布でカビを拭き、その後除菌します
カビが発生するのは汗などの養分とカビの菌、そして湿気が揃うときです。カビを拭き取り、除菌スプレーで元に戻したら、風通しのいい場所で靴に湿気をためないようにします。
常にきれいな面を使って表面のカビを拭き取る。使用した布は捨てます。
除菌スプレーをかける。家庭用のカビ取り剤は漂白されるので厳禁。
塩がふいた靴は「サドルソープ」で洗う
塩は、靴の革が吸収した汗の成分が水濡れによって表面に出てきたものです。靴全体をよく水に濡らし、サドルソープ(皮革用のせっけん)を布に取り、優しくこすり洗いします。
まず全体を水拭きして、靴全体をムラなく濡れた状態にしておく
サドルソープは少量だけ布にとって使い、つけ過ぎないようにする
塩のふいた部分だけでなく、全体をやさしくこすり洗いする
泡が残ることのないように、全体をていねいに拭き取っていく
乾かしたら、新品の靴のケア「③クリームを塗る」以降のケアを行います。
ちょっとした傷は「靴用クリーム」で修復!
表面が少しこすれた程度なら、汚れを落とし同系色のクリームを塗れば目立ちません。深い傷は完全に補修できませんが、クリームの色で目立たなくすることはできます。
クリームで傷の周辺についた汚れを落とす。これで目立ちにくくなります
塗ると実際より明るく見えるので、同系色の少し濃い目の色を選択する
傷にすり込むようにクリームを塗りこんでいく。つけすぎに注意
余分なクリームを拭き取って乾かすと、傷を目立たなくすることができます
修正前はこすれた部分が色落ちして、傷が白く目立つ状態になっていました
※シューキーパーの効果が出るまでは差があります。
トウの曲がり程度ならシューキーパーで直せます
トウの部分が曲がってしまった程度の履いてできたクセであれば、シューキーパーを入れてしばらく置いておくと、ある程度までは元の形に戻すことが可能です。
早く乾かしたいときは「紙」を詰めておく
新聞紙を軽く丸めて入れておくと水を吸い取って早く乾きます。じつはドライヤーは革を固くしてしまうので厳禁です。
紙をもみほぐしてティッシュペーパーに包み、内部に詰める
割り箸などでつま先にフィットするように固定。まめに取り換える
防水スプレーは「汚れも防ぐ」ので必須
フッ素系の防水スプレーは革の通気性に影響せず、多少の雨や汚れをはじいてくれるのでとても便利なアイテムです。スプレーした後は乾いた後から履くようにします。
ブラシは靴の色別にひと組ずつ揃えます
クリームを使うブラシは、1種類だけでは色が混ざってしまい、使いづらくなってしまいます。黒系の靴と茶色系の靴でそれぞれ専用に大小のペアをつくり、必ず分けて使ってください。
クリームは地色より少々濃い色でもOK
色のついたクリームを使うと色褪せを予防してくれます。地色より多少濃い色でも靴につくのは少量なので、目立ちません。全く同じ色でなくても、少し濃くても薄くても、使って大丈夫なんです。
クリームは「小指の先くらいの少量」が正解
片側の靴で、だいたい小指の先やコーヒー豆程度の量でケアには充分です。小さいブラシに取ったら、それを全体に塗り広げます。塗りすぎは、かえって光沢をなくす原因になるので注意。
つま先×カカトを光らせるとオシャレ!
対面したときに目が行きやすい「つま先」と後姿の印象を決める「かかと」がお洒落のポイントで、ここのみを光らせましょう。全体をピカピカに磨くと、やりすぎな印象に。
付いたシワは戻らない! シューキーパーは絶対必要です
靴は履いた時の形がきれいに見えるようにできているので、脱いだ後はその形をキープするシューキーパーは必需品です。革のシワは一度つくと元に戻らないので、履かない時は常に入れておきましょう。靴内部の湿度調節もしてくれます。
ちなみに、木製でニス塗りなどの加工がしていないものが◎。サイズの調整はねじ止めスライド式の方が使いやすく、靴にストレスを与えず形をキープしてくれます。
シューキーパーは伸び縮みすることでサイズの調整ができます。バネで伸ばす方式のものは靴が反ってしまうことがあるので、ねじで固定するスライド式の方が型崩れせずおすすめです。
脱いだら即シューキーパーで1日乾かします
1日履いた靴は、最低でも2日は休ませましょう。脱いですぐは革が柔らかくなっていて型崩れしやすいので、シューキーパーで形を整え、底を浮かせて通気性を確保して陰干しで1日乾かし、休ませます。
底の部分の通気性をよくするため、斜めに立てかけるようにして乾かす
保管時は「通気性」に気をつけましょう
靴からは吸収した汗など湿気が出るので、閉めきった状態のままにしておくとカビが生える原因になります。通気性を確保し、湿った空気が内部にたまらない環境にしましょう。
来客の予定がない時は扉を開けて内部の湿った空気を入れ替えましょう
箱の場合は穴をいくつか開けておき、通気性を確保しておきます
正しい箱へのしまい方で型崩れを防ぎましょう
靴を箱に入れて収納する際は左右それぞれを薄紙にくるみ、最初の靴を足の内側が下になるような形で箱に入れ、底を箱の側面に付けます。型崩れしないよう、靴の間に仕切りを入れておきましょう。
※写真では分かりやすいように、薄紙に包まず入れています
【1】まずは片方の足の内側の部分が下になるようにして箱に入れる
【2】底の部分が箱の内側の面にびったり接するようにしておく
【3】靴の重さで下になった方がつぶれないように仕切りを入れる
【4】残った片側は、靴の内側を上に、底の部分を箱の面側にして入れる
互いに接触し、革が傷つくのを防ぐため、片方ずつていねいに薄紙にくるんで保護しておきます。
長期間しまう場合でも「半年に1度」はチェックしましょう
長い間履かない戦でも、保管したままにしておくとカビが生えたり、型崩れしている場合があるので、半年に1度くらいは状態を確認するのがベスト。
その際、基本のメンテで保湿も忘れずに。
正しい履き方をすれば靴にも身体にもいいことずくめなんです。
靴を履く時に、無理矢理足を押し込んだりすると、靴が傷む大きな原因となります。また、靴ヒモで適切に足をホールドしておかないと、靴の中で足が擦れて靴ズレを引き起こしたり、疲れやすくなったりするのです。
レースステーの部分をゆるめ、足がスムーズに入るようにする。ただし、靴ヒモを全部ほどく必要はありません。
靴べらを使用するとスムーズに履くことができます。間違っても、バックステーを踏んづけるようにして履いてはいけません。
足がちゃんとホールドされているか、確かめながら、ゆるめたレースステーを前の方からしっかり締めていく。
足がきちんとホールドされているのを確認したら、蝶々結びで靴ヒモを結ぶ。しっかり結べば、そうそうほどけることはありません。
かかとをこすり合わせるようにして脱いでしまうと、靴によけいなテンションがかかって、ダメージを与えるのでNG。脱ぐときは面倒くさがらずにヒモをほどいて脱ぎます。
脱ぐ時は、靴ヒモをほどき、手でしっかり押さえてから脱ぐようにする。
出先で靴を脱ぐ機会がある場合、そこに靴べラがないケースを考え、携帯用の靴ベラはいつも持ち歩くようにしましょう。
なお、割れたりすることのないよう、素材はしっかりしたものに。
バックステーの裏地がこすれてすり切れてしまうのを防ぐのにも役立ちます。
結び方は脱ぎやすいパラレルがおすすめ
靴の結び方には、1本をらせん状に穴に通していくシングルと、2本を交互に通していくパラレルがあります。パラレルの方が脱ぎやすく、かつホールド力が強いので、こちらがおすすめです。
訪問先で部屋に上がる際は、脱いで上がってから、靴の向きを揃えます。なお、靴を脱ぐ時に相手に背を向けるのはマナー違反です。
向きを変え、揃えておけばOK。靴ヒモはほどけたままにしておいて大丈夫です。
靴のインソール(中敷き)は、滑り止め用や、土踏まずのアーチを補助するもの、そして防臭用までさまざまなタイプが市販されています。うまくフィットすれば効果は抜群なので、積極的に試してみましょう。
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もし取れない傷がついた、カカトが削れたなど、補修が必要になった場合はプロに頼むのがベスト。
ここでは靴修理で有名な「ユニオンワークス」さんの、よくある修理の依頼例と、そのお値段をご紹介。
2500円~
摩擦箇所を加工し、そこに補強パーツを埋め込み接着。補強パーツはラバー製や革製のほか、より堅牢な仏製「ヴィンテージスティール」も人気。
3500円~
ヒール交換は、摩擦が下から2番目の層に達してしまう手前で(写真左上)。これならトップリフト(地面に接する層)のみの交換で済みます。
ユニオンワークスではお好みに合わせ、各種トップリフトを用意。
17,000円~
こちらはかなり致命的。中のコルクが露出してしまったら、修理方法はオールソール(ヒールを含む本底全交換)。
レザーソール1万7000円~、ラバーソール(各種あり)なら1万円~。
靴にもお財布にもダメージを与えないために、日ごろから靴の状態をチェックしてメンテナンスすることが大切です。
2000円~
筆やスポンジなどを使ってボカシを加えつつ、傷部分にピンポイントで皮革用塗料を塗っていきます。セルフケアでは消えない傷も、職人的な手法にかかればみごとに補修!
大きくする:1750円~ 納期は約2週間
「ちょっとキツイ」とお悩みの靴はストレッチャー(右)に取り付け、ピンポイントで革を伸ばします。ユニオンワークスなら靴への負担を抑えて、ストレッチ!
小さくする:2000円~
アジャスト用中敷き(左)を取り付けてサイズを小さく。同店では元の中敷きの下に取り付ける(右)のでインソールの雰囲気はそのままキープ。
外反母趾対策:1750円~ 納期は約2週間
親指付け根部分に部分出し用部品を取り付けた足型を靴に差し込み、ストレッチャーへ。
▼こんなことにも対応してくれます
3500円~ 納期は1週間
濡れた床や道では滑りやすいレザーソール。その前部にハーフラバソールを張り付ければ、そんな不安も解消!
すり減り防止にもなるから、買ったばかりの靴にもオススメ。
4000円~
セルフケアでもシミがとれなければ、ご相談を。
表面が毛羽だったスウェードなど、シミ取り難度の高い靴にも対応してくれます。
メンズファッションブランドナビ編集部
“本当に正しい情報だけ”を目指し、その分野において「雑誌掲載の実績・専門家の評価・人々の話題性」など、相応しいブランドだけを掲載しています。