100年以上に渡ってクラフトマンシップによる最高品質を保ち、今やキングオブブーツ(ブーツの王様)と称される『ホワイツブーツ』。
今回はそんなホワイツブーツの歴史・定番ブーツ・コーデ・カスタムオーダーの特徴・メンテナンス方法まで、その魅力を深堀りしています!
【1】ホワイツブーツとは
【2】ホワイツの歴史
【3】ホワイツの定番ブーツ
【4】経年変化サンプル
【5】ホワイツのコーディネート
19世紀に創業し、ロガーズたちの足を支え1894年よりワシントン州でカスタムメイドを中心にブーツ作りを開始したブランド。
最高級のレザーと、水の浸透や型崩れを防ぐために太いアイリッシュ・リネンの糸を使い、アッパーとインソールを手縫いで合わせてからのステッチダウン製法を採用。
現在でも全米のラインマンやファイアーマンなど、タフな環境で活躍するワーカー達の足下をサポートしている。
ワーカーから愛されるクラフトマンシップ
オットー・ホワイトが「世界一良質なワークブーツを作る」というコンセプトを掲げ創業。その起源は、南北戦争以前にさかのぼり、オットーの祖父と父が、ウエストバージニア州の林業従事者のために、靴底に金属の滑り止めを装着したブーツを製作販売したのがルーツとされる。
1902年に、より高品質なワークブーツを製作するため、本拠地をアイダホ州セントマリーズに移設。さらに1915年に、現在の生産拠点であるワシントン州スポケーンへと移し、カスタムオーダーを中心としたハンドメイドのブーツ作りをスタートさせた。
オットー・ホワイトは、91歳の生涯を閉じる直前までファクトリーに立ち続け、跡を継ぐ職人たちに『ホワイツブーツ』の理念、理想、品質、技術といった伝統を残した。そのおかげもあり、厳選されたレザーのみを使用したブーツは、ハンドメイドによる独特なハンドソーン・ウェルテッド製法+ステッチダウン製法で作り出され、昔から変わらぬ高いクオリティーを保持。
創業から1世紀以上経った現在でも、クラフトマンシップの精神を貫き「キング・オブ・ブーツ」の愛称で親しまれている。
【1】 ホワイツの過去の資料はそれほど多くないですが、わずかに残された文献からは、ずっと変わらないスタイルが伺えます。
【2】【3】【4】 無造作に積まれたブーツの材料も、耐久性や履きやすさを求めて厳選されたもの。
【5】【6】【7】 カスタムオーダーを基本とするため、一足一足のディティール、製造方法は異なる
知っておくべき2大モデル「スモークジャンパー」「セミドレス」をはじめ、カジュアルに履ける「ノースウエスト」など定番8モデルを紹介!
20代 30代 40代 50代
キング・オブ・ワークブーツの名に恥じない逸品!
ブランドの顔役的な存在といえばこのスモークジャンパー。地上から現場に近づくことのできない森林地帯で火事が起きた際に、ヘリコプターから降下して消火作業にあたる消防隊員(スモークジャンパー)のために生み出された一足。煙立つ現場に赴く様が見事に表されたネーミングといえる。
過酷な労働条件の中で働くワーカーたちの足元をしっかりとサポートする独自のアーチ・イース構造が特徴的。ヘビーデューティーな作りはまさに一生もの! これを基本にさらに細部にまでこだわったカスタムオーダーも可能。
■価格:9万9700円
30代 40代 50代 60代
ワークブーツという型にはまらないドレッシーでスタイリッシュな面構え!
日本で抜群の人気を誇るのがこのセミドレス。真横から見た際のヒールからシャフトにかけての曲線美は、その名の通り、ワークブーツのカテゴリを超えたクオリティ。
大量生産されたブーツとは明らかに一線を画す点は、立体感のあるルックスだけでなく、土踏まずにぴったりとフィットするラストのホールド感など、愛される理由は数多い。ウィズやサイズ展開も多く、さまざまなコーディネートに順応できる点もセミドレスの強み。
■価格:9万7650円
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街履きなど気軽に楽しめるホワイツブーツ!
ワークブーツのホワイトが、タウンユースやハイキングを目的に考案したモデル。同モデルは3枚の異なる雰囲気の革を組み合わせて作り、このブランドでは珍しくクレープソールを備えている。レザーのシューレースが好アクセント。
■価格:11万3400円
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創業当時から続くロングセラー!
高いアーチとヒールが特徴。ホワイツブーツの中でも、最も歴史があるモデル。ホーウィン社のクロムエクセルレザーを使用し、トゥにはレザートゥキャップ、ソールは700番台のセパレートなど、クラシックな雰囲気に仕上げたブーツ。
■価格:9万7650円
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ビジネス・カジュアルの両方で使えるドレス系!
ブローグでデコレーションされたストレートチップ。クロムエクセルのアッパーに、レザーライニングが付けられ、ソールにもレザーを使用する。スーツスタイルにも活躍しやすい一足。
■価格:9万円
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日本規格で作られたモデル。もちろん、アメリカの工場で生産されており、人気モデルである「セミドレス」のハイトを短くした1足。1940年代の医師らが履いていたもののオマージュ。
■価格:8万5000円
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ブラックのクロムエクセルレザーを採用したレギュラートゥ仕様。バイクに乗る際の使用目的を想定し、つま先にはスチールを搭載した特別仕様。
■価格:9万7500円
20代 30代 40代 50代
本格仕様のロガーブーツをタウン仕様にするため、アーチを取り除いたモデルがスウィング・ラスト。ミリタリーブーツをイメージしたセミドレス。
■価格:9万2000円
上質な革使いと堅牢な作りゆえ、履きこむほど味わい深い表情へと変わる「経年変化(エイジング)」が楽しめるのもホワイツの魅力。
5年、10年は当たり前。長年愛用できる、快適なブーツライフを約束してくれます。
紺のコーチジャケット×ストレートデニムというワークスタイルは、ホワイツのブーツと相性抜群! 特に黒ブーツなら何とでも合わせやすいですね。
同じくワークテイストな「デニムジャケット×チノパン」も鉄板! シックな黒色ブーツはパパも扱いやすい。
難しそうなジャケパンだってこのとおり。ブーツとテイストの合う「チノパン」からジャケットへと繋いでいる所がポイントです。
カジュアルなラフアウト仕様ブーツは、デニム合わせが王道! インナーのベージュ色ニットをリンクさせたり、差し色オレンジ色ダウンもおしゃれ。
クールにカッコよくまとめたオールブラック。ダブルライダース(レザー)とチノパン(コットン)の素材が違うところが、のっぺりと平凡に見えないコツ。
アウトドアMIXスタイルに、ワークテイストの強い赤茶ブーツをON。差し色効果でメリハリが付きます。
シンプルな夏の「Tシャツ×デニム」コーデに重厚感を与えるホワイツブーツ。男らしさ3割り増し!
ホワイツは、今流行りの「ワイド系」にだってすんなりとマッチ。重たさがあるブーツゆえ、太いパンツも難なく受け止めます。
カーキ色(ミリタリージャケットのN-3B)と、赤茶色の対比が鮮やか! 暗くなりがちなミリタリー系も洒脱に。
「マウンテンパーカー×デニム×ホワイブーツ」。この場合、アウターの赤色を邪魔しない黒ブーツが正解!
ダボッとしたワークなオーバーオールには、ボリューム感のあるブーツで違和感なし。
パパの何気ない休日コーデ。白ニット×デニムのベーシックな組み合わせも、重厚なホワイツブーツなら“格上げ”必至!
もちろんバイカー達にも愛されるホワイツブーツ。タフな見た目はもちろん、耐久性も兼ねているからこそ。
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ホワイツの正規店、もしくは公式サイトでは「自分だけの1足」が作れるカスタムオーダーが可能。ここではその特徴・選べる項目を紹介しています。
アッパーに使用できるレザーは、素材だけで7種類。さらに、一部を除きそれぞれの素材でラフアウト仕様を選ぶことができ、カラーバリエーションも数色ずつラインナップしています。
木型によって選択不可な組み合わせもありますが、それぞれが独自の個性を持った革です。
(2) ウォーターバッファロー:7色
(3) フレンチカーフ:4色
(4) カウハイド:8色
(5) クロムエクセル:2色
(6) シャークスキン:2色
(7) シボが付いたボイジャー:2色
レーシングパターンは「レース・トゥ・トゥ」と「レギュラートゥ」の2種類から選べます。この他にも、トゥの芯材に金属製のスチール(セミドレスは不可)、非金属製の「セラスティック」、「ダブルセラスティック」、トゥ保護する「トゥキャップ」を選択可能。
ミッドソールは通常のシングルミッドソールの他、2枚に増やすダブルミッドソール、さらにソールの後ろ半分だけをダブルにするハーフスリップレザーの中から選ぶことができます。
ヒールの形状は、下に向かうほど内側にくびれる「スタンダードヒール」が標準ですが、垂直にストンと落ちる「ブロックヒール」を選ぶこともできます。高さも3段階に変更可能。
ライニングは付けない仕様、また付ける仕様の場合はカラーを黒、白、グローブ(茶)の3種類から選べます。
レザー素材のミッドソールのエッジ、つまりコバ部分の着色も選択可能。着色しない場合はナチュラルとなり、着色する場合は黒、ブラウンの2色から選ぶことになります。
ホワイツでは、アウトソールにビブラムのソールを採用しています。ワークブーツの代名詞ともいえる「スモークジャンパー」では、最もメジャーなビブラムの#100、ドレスブーツの要素を取り入れたセミドレスではレザーソールが多いですが、それぞれ#700、#430、#269なども選ぶことができます。
(上中)#700:フラットな側面ですっきりとし、クラシックな雰囲気が伺える
(上右)#2021:カジュアルな印象がグッと強まる、ワンピースのクレープソール
(下左)#430:#100のようなパターンを持ちつつ薄めのミニビブラム
(下中)#269:細かな滑り止めの溝が刻まれているが、薄くスッキリとしている
(下右)スタンダード:セミドレスでは、ドレッシーな印象が強まるレザーソールが標準仕様
アイレットとフックの金具は右の写真のニッケル、左のゴールド(真鍮)、真ん中の銅色、他にも黒があり、4種類から選ぶことができます。
シャフトのハイトは、スモークジャンパーであれば6インチを最短とし、1インチ毎に実質無制限に選択可能。セミドレスは選べず5インチのみ。写真は左から6、8、10インチ。
スモークジャンパーはトップエンドの処理を選択可能。巻き込んで補強した「ロールドトップ」、切りっぱなしの「ストレートトップ」の2種類。
バックステイのトップに付けるプルループ。スモークジャンパーは標準装備で、セミドレスには付いてないですが、こちらにも装備可能。
アウトステッチは、糸目が目立ちワイルドなルックスを持つダブルステッチが標準ですが、シングルステッチも可能になっています。
シューレースは、丸ひもが黒、茶色、黄色、平ひもが黒、茶色、革ひもは黒、白、ナチュラルから選択可能。実に8種類をラインナップ。
ガゼットの間に挟みこむフォルスタンは全ブーツに標準装備。シューレースを通して固定しているだけなので、取り外しは簡単。
ここではホワイツの代名詞的なモデル「スモークジャンパー」のメンテナンス方法を紹介。
※他のモデルも同様の手順でOKです。
馬毛ブラシを大小2種。純正オイル(2940円)。
ステッチ周りの汚れ落としは小さめのブラシで
靴紐を外し、ステッチ周りの汚れを落とします。隙間に入り込んだ土や埃をこれで落とします。(写真は、ホワイツ純正ケアキット付属の馬毛ブラシの小サイズを使用)
全体にかけブラッシングを施していく
次に大サイズの馬毛ブラシを使って、全体的にブラシをかけていきます。余分な汚れが付着した状態でオイルを塗り込むことを避けるため、丹念に時間をかけて作業するのがポイント。
オイルを塗っていく
ホワイツ純正オイル(レザークリームでもOK)をコットンクロスで塗り込みます。少し塗ったものを全体に伸ばす感じで広げていきます。まんべんなく行き届かせることがポイントです。
乾拭きして余分なオイルを拭き取る
オイルの塗りこみに使ったのとは別のコットンクロスで、しっかりと全体を乾拭きしてオイルを拭き取っておきます。
ステッチ周りの乾拭き作業は特に念入りに!
余分なオイルが意外と溜まりやすいのが、ステッチ周り。最後の仕上げに入念に乾拭きしておきましょう。残しておくと白く浮いてきたり、さらにはカビが繁殖する原因になるので気をつけましょう。
セミドレスをカジュアルではなく、ややドレスアップして履きたい。そんな使用目的があるなら、純正オイルではなく、レザーやカラーに合わせて靴墨を用いてみるのも一つの手です。
靴墨を塗り込むことで、さらにキュッとしまった色合いが出るので、スタイリング全体にカッチリした印象を与えてくれます!
ラフアウトなど起毛系のレザーはオイルを入れられないので、こまめなブラッシングで汚れを固着させないのがポイント。
硬い毛のブラシで汚れを取る
ナイロン製など硬い毛のブラシで全体をブラッシングして汚れをかき出します。
汚れがひとい場合は革用の消しゴムで
ブラシだけでも汚れは落ちますが、それでも落ちにくい部分には「スエード用の消しゴム」を使用。ごしごしこすると汚れた落ちます。
通常のブラシで残ったカスをきれいにする
目立った汚れが落ちたら、馬毛のブラシなどで、削りカスをキレイに落として、毛を起こすように全体を丁寧にブラッシング。これで終了です。
メンズファッションブランドナビ編集部
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